太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男―

太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男―

強い信念と誇りを胸に戦場を生き抜いた1人の兵士の姿を描く真実の物語

戦争映画初主演の竹野内豊をはじめ実力派豪華キャストが織りなす人間ドラマ

太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男― 戦争について考えたり学んだりする機会が多くなる、8月。太平洋戦争の激戦地・サイパン島の闘いを日米双方の視点から描出した話題作がテレビ初登場となる。「太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男―」。過酷な戦場を、信念を持って生きぬいた1人の男の生き様から、二度と起こしてはならない戦争の無常を訴えかける、竹野内豊主演作だ。

物語の主人公は、元地理教師の大場栄大尉(竹野内豊)。サイパン島に送られた彼は、日本の敗戦の色が濃くなる中で、日本軍玉砕命令後の総攻撃で生き残ってしまった。日本軍の勝利のために1人でも多くの敵を倒すことを胸に誓い続けてきた大場だったが、生きて日本に帰ることだけを心のよりどころにして山中で共同生活を送っている200人あまりの民間人と出会い、数人の仲間とゲリラ戦を続けてきた堀内今朝松(唐沢寿明)や、かつての部下たちの協力を得て、圧倒的兵力を誇る米軍から多くの民間人の命を守りきることを決意する。「生きる」ために神出鬼没な戦いを続ける中で、大場はアメリカ兵から「フォックス」と名付けられ、恐れと尊敬を集める存在になっていく。

太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男― 原作は元米軍海兵隊員のドン・ジョーンズが、戦後、大場栄本人に綿密な取材を重ねて書きあげた『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』と、それをアレンジした英語版『OBA, THE LAST SAMURAI』。日米それぞれの読者に向けて書かれた2つの作品を元に、映画は日本語のシーンは平山秀幸監督が、英語のシーンはチェリン・グラック監督がメインで撮影。カット割りも演出法も異なる日米2人の監督が、サイパン島で戦った日本人とアメリカ人、それぞれの目に映ったリアルな戦場を描出。それによって、日本人にとってもアメリカ人にとっても、生命は平等に貴く、戦場は平等に過酷で哀しいものであるという、ごく当たり前の事実が鮮やかに浮かび上がってくるのだ。

約2カ月間、現地のスタッフすら入りたがらないというタイのジャングルを含むオール海外ロケで撮影された本作。実弾を使って撮影された迫力の戦闘シーンも魅力的だが、戦争の記憶を次世代に伝えるためにと集まった豪華キャストが織りなす人間ドラマも素晴らしい。誰からも尊敬されるリーダーであった大場栄大尉を丁寧な役作りで演じた主演の竹野内豊。そしてスキンヘッドで戦場を駆け巡る堀内一等兵役の唐沢寿明のほか、兵士役では山田孝之、岡田義徳、板尾創路、近藤芳正、光石研、柄本時生らが登場。一方、アメリカ兵に強烈な敵意を抱いている看護師・青野役の井上真央をはじめ、中嶋朋子、ベンガル、酒井敏也、阿部サダヲら、民間人役にも個性豊かな出演者が集結した。

1つの戦闘を日本とアメリカ双方の視点から描いた作品としては、クリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」の二部作が記憶に新しいが、本作はそれぞれ独立した2作品の魅力をギュッと1つの作品に封じ込め、かつ、人間ドラマの部分を際立たせた意欲作。日米それぞれの様々な立場の人間の目線で描かれる戦場の姿から、「戦争には英雄なんかいない」という重厚なテーマがしっかりと伝わってくるはずだ。

激戦を生き抜いた少数の兵士を統率し多くの民間人の命を守り抜いた男の死闘

太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男― 太平洋戦争末期の1944年(昭和19年)。元教員の大場栄(竹野内豊)は、家族を日本に残して、本土防衛の最重要拠点とされていたサイパン島へ送られた。しかし圧倒的な軍事力の差で日本が占領していた島々を制圧したアメリカ軍は、同年、サイパン島に上陸。大本営がサイパン島の放棄を決定する中、兵士たちには玉砕命令が下された。大場をはじめとする陸軍の部隊が総攻撃の地点に向けて移動する中、アメリカ軍の捕虜になることを避けるために次々に自決していく民間人たち。できる限り早くサイパン戦を終結させることを目標とするポラード大佐(ダニエル・ボールドウィン)にとって、日本人の「玉砕」「自決」の精神は想像の範囲外。一方、彼の部下で日本への留学経験があるルイス大尉(ショーン・マクゴーウァン)は、日本人の誇り高い精神を深く理解し、だからこそサイパン戦が簡単には終わらないだろうという予感を抱いていた。

サイパン守備隊幹部が自決を果たす中、残った兵士たちは最後の玉砕攻撃「バンザイ突撃」を決行。戦場で散る覚悟だった大場だが、砲弾に吹き飛ばされ、気付けば周囲を戦友の遺体に囲まれていた…。生存者を捜すアメリカ兵を前に、とっさに死んだふりでその場を生き抜こうとする大場。そんな彼を救ったのは、とうに戦線を離脱し、単独でゲリラ戦を繰り広げていた堀内今朝松一等兵(唐沢寿明)だった。自分が生きていられるという保証もない中で、戦地で生き残った赤ん坊を救おうする大場を、冷めた目で観察し続ける堀内。水と油のような2人だったが、ジャングルの奥地で民間人を率いて集団生活をしている大城(ベンガル)たちと出会い、彼らを救うために戦うことを決意する。

太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男― 大城たちと行動をともにしていた金原少尉(板尾創路)、永田少尉(光石研)に加え、尾藤軍曹(岡田義徳)や木谷曹長(山田孝之)ら各部隊の生き残りと共に、民間人を生きて日本に帰すための大場の死闘が幕を開けた。飲用に適した沸き水もなく、食料や医薬品の補充も受けられない中、老若男女を統率して米兵から逃げ続ける大場たち。その中には、米軍に家族を殺され復讐を誓う看護師の青野(井上真央)の姿もあった。傷ついた仲間たちを献身的に看病する一方で、堀内から銃の使い方を教わり自力で米兵を倒そうと覚悟を決める青野の強い眼差しに、大場や木谷は心を痛める。

一方ルイス大尉は、島の中央にそびえるタッポーチョ山に潜伏している大場たちを殺すのではなく投降させたいとポラード大佐を説得。少ない部下とともにタッポーチョ山へと向かうが、大場の仕掛けた罠により、作戦はことごとく失敗。200名以上の民間人とともに移動しているはずなのに決して姿を見せることのない大場を、その正体はわからないままに「フォックス」と名付けて、米軍の兵士たちは恐れ始めていた。そんな中、ポラード大佐の後任として穏健派のウェシンガー大佐(トリート・ウィリアムズ)が赴任。ルイスは英語が堪能な捕虜の元木(阿部サダヲ)らの協力を受けて、今度こそ大場を投降させるために新たな作戦に出るのだが…。

日本本土の戦況も悪化する中、終わりの見えない戦いで疲弊していく日米の兵士たちと民間人たち。そして遂に、大場たちの宿営地では薬が底を尽き、大場も青野も、堀内までもが究極の決断を迫られることに。果たして大場は、多くの民間人と生き残った戦友たちを守り抜くことができるのか…?

太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男―

キャスト

<大場栄 大尉>
竹野内豊
<ハーマン・ルイス 大尉>
Sean McGowan(ショーン・マクゴーウァン)
<青野千恵子>
井上真央
<木谷敏男 曹長>
山田孝之
<奥野春子>
中嶋朋子
<尾藤三郎 軍曹>
岡田義徳
<金原 少尉>
板尾創路
<永田 少尉>
光石研
<池上 上等兵>
柄本時生
<伴野 少尉>
近藤芳正
<馬場明夫>
酒井敏也
<大城一雄>
ベンガル
<ウェシンガー 大佐>
Treat Williams(トリート・ウィリアムズ)
<ポラード 大佐>
Daniel Baldwin(ダニエル・ボールドウィン)
<元木末吉>
阿部サダヲ
<堀内今朝松 一等兵>
唐沢寿明

スタッフ

<監督>
平山秀幸
<脚本>
西岡琢也/Gregory Marquette・Cellin Gluck
<音楽>
加古隆
<原作>
Don Jones『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』
『OBA, THE LAST SAMURAI』
<ヴァイオリン演奏>
宮本笑里
<製作指揮>
宮崎洋
<製作>
大山昌作
平井文宏
島谷能成
阿佐美弘恭
村上博保
服部洋
大橋善光
<エグゼクティブプロデューサー>
奥田誠治
<シニアプロデューサー>
菅沼直樹
<プロデューサー>
飯沼伸之
伊藤卓哉
甘木モリオ
田中敏雄
<US Unit Director>
Cellin Gluck

メイン・ユニット

<撮影>
柴崎幸三
<美術>
中澤克巳
<照明>
上田なりゆき
<録音>
小松将人
<編集>
洲ア千恵子