ポニョ(奈良柚莉愛)は、海の底で暮らすさかなの子。人間を辞めて海で暮らす道を選んだ魔法使いの父・フジモト(所ジョージ)と、海なる母・グランマンマーレ(天海祐希)の間に生まれたため、少しだけ不思議な力を使うことができる。ポニョはある日、人間になるという夢を叶えるために、大好きないもうと達(矢野顕子)に別れを告げて冒険の旅に出た。
クラゲに乗ったポニョが流れ着いたのは、ある小さな港町。波にもまれてジャムの瓶に頭がつっかえ、抜けなくなっていたところを、1人の少年に助けられる。その少年の名前は、宗介(土井洋輝)。内航貨物船の船長を務める父・耕一(長嶋一茂)の留守を、快活で聡明な母・リサ(山口智子)と一緒に守っているしっかりもので優しい男の子だ。ひと目見ただけで宗介を好きになってしまったポニョ。宗介も、ワガママだが可愛らしいポニョを自分が守ってあげると心に誓う。しかし…ポニョの自立を認めたくないフジモトは、魔法の力で波を自在に操り、宗介の手からポニョを奪い返してしまう。
フジモトによって、海底の船の中に閉じ込められてしまったポニョ。しかし、母親譲りのポニョの魔法の力はフジモトよりも強く、ポニョが念じただけで身体からは手と足が…! フジモトはとっさにポニョを眠らせるが、姉思いのいもうと達が、その封印を解除。パワー全開になったポニョは、フジモトのとっておきの魔法の薬の力で“水魚”に姿を変えたいもうと達とともに、宗介の住む崖の上の家をめがけて大きな波となって押し寄せた!!
ポニョが封印を解いてしまったために、海は大しけ。荒れ狂う波が宗介たちの住む町にも押し寄せる中、勤務先のデイケアサービス「ひまわりの家」から自宅へ、大急ぎで車を走らせるリサと宗介。リサが華麗なドライビングテクニックで風や波を避けて狭い道路を走り抜けたその時、宗助は大きなお魚の上を走る一人の女の子の姿を目にする。ポニョだ! 「宗介が好き!」…その一心で人間の女の子に姿を変えて宗介の家に辿りついたポニョを、リサは宗介とともに自宅で休ませることにする。
宗介とリサと一緒に体験する初めての人間の生活に、興奮が止まらないポニョ。初めて使うタオル、初めて飲むお茶、初めてのラーメン…。初めてづくしの冒険に疲れ果て、また宗介と再会できたことではしゃぎすぎて、ご飯を食べながらポニョは眠ってしまった。
その夜。嵐は収まったが、不安な気持ちを抑えられないリサと宗介。そんな中、リサは「ひまわりの家」で夜を明かしているはずの老女たちを助けるために、車で出かけることに。必ず戻ると宗介に約束して、リサは自宅を後にする。
一方、地球の引力のバランスが崩れて始めていることを心配したフジモトは、ポニョの暴走を止めるために再び宗介の家を訪れていた。そこに、同じく娘を心配したグランマンマーレが姿を現す。宗介に恋をしたポニョが人間になりたいと望んでいることを知ったグランマンマーレは、娘の願いを叶えてあげることを決意。そして翌朝…。目覚めたポニョと宗介は、おもちゃの小さなポンポン船に乗って、リサを探しに行く。
小さな恋の物語が巻き起こした、大騒動。海を静め、世界を元に戻し、そして2人の子どもたちを幸せにするためにリサとグランマンマーレが下す決断とは…? ポニョと宗介の恋の行方には、どんな未来が待っているのか?



2007年の年末、主題歌が発表されるやいなや日本中を熱狂の渦に巻き込み、2008年夏の公開と同時に大ヒットとなった「崖の上のポニョ」。5歳の少年と少女を主人公に、宮崎駿監督が「となりのトトロ」以来20年ぶりに生みだした子どものためのファンタジーだ。
そんな子どもたちを大きな心で受け止める「おかあさん」も、とにかくステキ。目の前で起こっている理解不能な現実をサラリと受け止め、子どもたちの言葉をきちんと正面から受け止める優しくたくましい宗介の母・リサ。そして愛娘・ポニョの成長を一歩引いた場所から見つめ続ける、海の母・グランマンマーレ。2人の母親のあり方は、すべての子と母にとっての理想の姿。「♪ポーニョ ポーニョ ポニョ」の主題歌で有名な本作だが、もうひとつ、オープニングを彩っている主題歌のタイトルは「海のおかあさん」。宮崎監督が子どものために作ったこの作品は、同時に子どもと一緒に鑑賞する母親たちに向けて作った物語でもあるのだろう。