おもひでぽろぽろ

おもひでぽろぽろ

「かぐや姫の物語」公開記念 2週連続“秋もジブリ!”巨匠高畑勲監督が女性の心情を描く名作が登場

27歳の女性が小学5年生の自分と旅へ― 切なくて懐かしい…感動の物語!

おもひでぽろぽろ 高畑勲監督の最新作「かぐや姫の物語」公開記念!「火垂るの墓」に続いて登場するのは、今井美樹&柳葉敏郎が声優を務めた「おもひでぽろぽろ」。東北へ旅に出た27歳の女性が小学5年生の自分に出会い、その頃の思い出がよみがえる中、自分を見つめ直していく物語。

主人公は東京生まれ東京育ちの会社員・タエ子。幼い頃から「田舎」に憧れを抱いていた彼女は、夏休みに山形の親戚の家で農業体験をすることに。脱サラして有機農業を始めたばかりのトシオたち山形の人間たちに見守られながら、紅花から紅を作る作業を手伝い、普段とは違う充実感を感じていく。しかしそんなタエ子に、なぜか小学校5年生の記憶が付きまとう。なぜ、今、小学校5年生なんだろう?不思議に思いながらも、大人でも子どもでもない“小学校5年生の自分”を振り払うことができず…。

初めて食べたパイナップルの味にショックを受けたこと。給食で嫌いなものを隣の席の男の子と交換したこと。分数の割り算の意味がどうしてもわからなくて、母と姉から呆れられたこと。ちょっとしたことで意地を張ってしまい、楽しみにしていた外食が台無しになったこと。学芸会の劇でセリフが一つしかもらえなくて、自分なりに工夫したこと。クラスにみんなから嫌われている不潔な男の子がいたこと。誰もが「あるある!」と手を叩きたくなるような懐かしい体験に満ちたタエ子の思い出が清々しく美しい映像で描かれる。それらは「ちょっぴりダメな自分」を27歳のタエ子に無遠慮に突きつけてくる。「今も昔も自分は変わらない」―そんな思いは万人に共通のものだからこそ、老若男女が彼女に共感してしまうのかもしれない。

おもひでぽろぽろ 実写かと見まがうほどに美しい山形の農村の風景と、淡いパステル調の背景とアニメならではのタッチにこだわった回想シーンの対比もお見事。特に他のクラスの男子から告白されて(そのセリフに胸キュン必至!)舞い上がったタエ子が空に続く階段を上っていき、フワフワとした気持ちのままお布団に入るシーンは、アニメでしか実現できない名シーンだ。高畑監督の高い演出が冴え渡る本作。それと同時に紅花畑に朝日が射しこむシーンの透明感も、アニメーションだからこその表現だ。

また、自然な声の演技にも高畑監督ならではの秘密が! 一般的に、日本のアニメーションでは完成した(あるいは制作途中の)動画に声をあてていく「アフレコ」という手法が取られる。しかし、本物の山形弁を操れる人が声優を務めることにこだわった高畑監督は、山形の飲み屋の女将さんや知り合いの脚本家のおばあさまなどを声優に抜擢。結果、27歳編では動画を作る前に声を収録してその口調に動画を合わせていく“プレスコ(=プレ・スコアリング)”と呼ばれる方法が取られたのだ。実はこれは高畑監督が「かぐや姫の物語」でも使った手法。本作では、今井美樹や柳葉敏郎の声も同様の手法で録音されており、2人の間合いや表情が動画にも反映されているのでご注目を。他にも音楽好きの高畑監督らしく「このシーンでこの曲が!?」と思わずうなってしまう選曲も多く、目だけでなく耳でも楽しめる作品となっている。

女性の内面を描くという意味では「かぐや姫の物語」とも共通項が多いと言える本作。いくつになっても小さなことで悩んだり喜んだりトキめいたりしてしまう女性の心情に寄り添った、感動の物語を是非!

小学5年生のわたしに背中を押されて27歳の私が大きな一歩を踏み出すまで

おもひでぽろぽろ 1982年の夏。27歳の会社員・タエ子(今井美樹)は、休暇を取って山形の親戚の家に農業体験に行くことに。東京で生まれ育った彼女にとって、「夏休みに田舎に遊びに行く」のは子どもの頃からの憧れだった。思い返せば小学校5年生の夏休み、「田舎に行きたい」とダダをこねてようやく連れて行ってもらったのは熱海の温泉。しかし、珍しい温泉にはしゃぎすぎてノボせてしまい、1泊の温泉旅行はあっけなく終わったのだった…。

一度開いてしまった記憶の蓋は閉まることなく、山形行きの夜行列車に乗ったタエ子に、小学5年生時代の思い出が押し寄せてきた。「廊下を走るな」「給食を残すな」というテーマで学級会が開かれたこと。父が買ってきてくれたパイナップルに大喜びしたものの食べ方がわからず、やっと口にしたその味にガッカリしたこと。隣のクラスの男の子と“すけべ横丁”に相合傘を書かれたこと。女子だけが体育館に集められて初潮についての授業を受けたこと。忘れ去っていた記憶に戸惑うタエ子だったが、小学校5年生の自分(本名陽子)が何か大切なことを教えてくれようとしているのではないかと彼女の思いに耳を傾けることに。

おもひでぽろぽろ 山形に到着したタエ子を迎えに来ていたのは、義理の兄の親戚で有機農業を始めたばかりのトシオ(柳葉敏郎)。今回の滞在で紅作りを体験させてもらうことになっていたタエ子は、その足で紅花畑へ。朝から晩まで続く、淡々とした作業。初めての体験に目を輝かせるタエ子を、山形の人々は温かく受け入れてくれた。

様々な農作業を体験したり、合間にはトシオと蔵王にドライブに行ったりと山形の生活を堪能するタエ子。そんな中でも、タエ子の“おもひで”の洪水は止まらなかった。他愛もない記憶を語り合ううち、お互いを理解し合っていくタエ子とトシオ。しかしタエ子にとってかけがえのない時間は刻々と過ぎていき…。

おもひでぽろぽろ

キャスト

<タエ子>
今井美樹
<トシオ>
柳葉敏郎
<タエ子(小5)>
本名陽子
<母>
寺田路恵
<父>
伊藤正博
<祖母>
北川智絵
<ナナ子>
山下容莉枝
<ヤエ子>
三野輪有紀

スタッフ

<製作>
徳間康快
佐々木芳雄
磯邊律男
<企画>
山下辰巳
尾形英夫
斯波重治
<原作>
岡本螢
刀根夕子
(徳間書店・青林堂刊)
<音楽>
星勝
<主題歌>
「愛は花、君はその種子」(「THE ROSE」より)
原曲作詞・曲 Amanda McBroom
日本語訳詞 高畑勲
編曲 星勝
唄 都はるみ
(シングル/日本コロムビア サントラ/徳間ジャパン)
<キャラクターデザイン>
近藤喜文
<作画監督>
近藤喜文
近藤勝也
佐藤好春
<場面設計・絵コンテ>
百瀬義行
<美術監督>
男鹿和雄
<プロデューサー>
鈴木敏夫
<製作プロデューサー>
宮崎駿
<脚本・監督>
高畑勲