地中海に面した、スペインの小さな漁村・ポルト リガット 切り立つ岩場に、漆黒の海を見下ろすように佇む白い建物。 ここは、20世紀を代表する画家・ダリが暮らした家です。 |
玄関を開けると、出迎えるのは巨大な北極グマ。 書斎の扉の向うには、3羽の白鳥が羽ばたいています。 |
何度も改築し、増築を重ねたこの家は、まるで迷路のように入り組んで、 ダリの作品と同じ不思議な世界にいざないます。 |
ふと振り向くと、ダイニングのテーブルに大好きなウニを並べて、 黒い殻を割りつつ頬ばるダリの姿が見えてきそう…。 そして、寝室へ向かう廊下には、年上の妻・ガラが。 |
二人の愛は、彼女の一言で始まりました。 「私を殺して」 殺したいほど愛して欲しい―――そういう意味でした。 |
鋭い感性と迸る情熱の行き場を求めていた彼にとって、気丈で挑発的なガラは最高のパートナー。 |
「ダリはガラ。ガラはダリ」 二人はひとつだと言って憚らなかったダリ。 |
妻がこの世を去った時、ダリは、 「ガラは死んでいない、決して死んだりはしない」と呟いたそうです。 彼女が横たわる寝室の窓辺から、 いつもと同じように二人で同じ海を見つめて…。 |
MUSIC:「AL-ANDALUS」 Manolo Carrasco 次回(1月30日)の『心に残る家』は ショパン 『旅立ちの家』 をお送りします。お楽しみに。 |