サルヴァドール ダリ  『妻と暮した迷宮の家』  2002/1/23放送

   
地中海に面した、スペインの小さな漁村・ポルト リガット
切り立つ岩場に、漆黒の海を見下ろすように佇む白い建物。
ここは、20世紀を代表する画家・ダリが暮らした家です。


   
玄関を開けると、出迎えるのは巨大な北極グマ。
書斎の扉の向うには、3羽の白鳥が羽ばたいています。


   
何度も改築し、増築を重ねたこの家は、まるで迷路のように入り組んで、
ダリの作品と同じ不思議な世界にいざないます。


   
ふと振り向くと、ダイニングのテーブルに大好きなウニを並べて、
黒い殻を割りつつ頬ばるダリの姿が見えてきそう…。
そして、寝室へ向かう廊下には、年上の妻・ガラが。


   
二人の愛は、彼女の一言で始まりました。
「私を殺して」
殺したいほど愛して欲しい―――そういう意味でした。


   
鋭い感性と迸る情熱の行き場を求めていた彼にとって、気丈で挑発的なガラは最高のパートナー。


   
「ダリはガラ。ガラはダリ」
二人はひとつだと言って憚らなかったダリ。


   
妻がこの世を去った時、ダリは、
「ガラは死んでいない、決して死んだりはしない」と呟いたそうです。
彼女が横たわる寝室の窓辺から、 いつもと同じように二人で同じ海を見つめて…。


サルヴァドール ダリ  『妻と暮した迷宮の家』  2002/1/23放送

 

MUSIC:「AL-ANDALUS」 Manolo Carrasco

次回(1月30日)の『心に残る家』は
ショパン 『旅立ちの家』
をお送りします。お楽しみに。


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