ファーブル  『虫に励まされた家』

(2003/5/7放送)


   
南フランスにある高原の村、サン レオン。
その緑に溶け込むように、ひっそりと建つこの家は、
「昆虫記」を書いた、ファーブルの生家です。


   
   
貧しい農家に生まれた彼は、7歳の頃から、両親を助けるために働いていました。
足の裏はいつも、マメだらけ。
靴は特別の日にしか履けず、裸足で畑仕事をしていたからです。


   
   
そんな足の痛みも、虫たちの声を聴けば、へっちゃら。
ミツバチは花々の間を飛び交い、草むらでは虫たちの美しい歌声が…。
「そうだね。君たちも裸足で生きてるんだ。がんばらなくちゃ」


   
そして、夜になると、窓辺に灯りをともして、アルファベットの練習をするのでした。
自分を励ましてくれる虫たちの名前を、きちんと書くことができるように。


   
 
 
のちに独学で博士号を取り、学者となって、それまで知られることのなかった、
生き生きとした虫たちの暮らしを「昆虫記」に綴った、ファーブル。


   
 
 
小さく儚い虫たちの、輝く命の営み。
そこに目を向ければ、毎日がきっと素晴らしく思える。
彼はそう、私たちに伝えたかったのかもしれません。


ファーブル  『虫に励まされた家』

(2003/5/7放送)

今回の放送のBGM♪
 「WHERE THE HEART IS」 Andrew Gold

次回(2003年5月14日)の『心に残る家』は
北原 白秋 『からたちの花咲く生家』をお送りします。
お楽しみに。