グスタフ・マーラー  『心の音を作曲した。夏のコテージ』

(2003/8/27放送)


 
オーストリアの人々が、避暑に訪れるアッター湖。
その水際にひっそりと佇む小さなコテージは、交響曲の大家と呼ばれる音楽家、マーラーの家です。


   
彼が夏の間、曲作りに没頭するためにここを建てたのは、34歳のとき。
オーケストラの指揮者として、作曲家として、忙しい毎日を送っていた頃でした。


   
一つしかない部屋に、置かれているのはピアノだけ。
マーラーは、友人も、家族すらも寄せ付けず、鍵盤に向かい、五線紙に音符を走らせます。


 
窓にそよぐ、湖の風を感じながら。
たったひとり、自然の静けさに身をゆだねて・・・。
「孤独は、我々を自分自身へ連れ戻す」


 
 
マーラーにとって、音楽は心の音。
生み出す曲は、自分自身、そのものだったのでしょう。


 
 
暖炉に薪がくべられる季節になると、たくさんの楽譜を抱え、再び都会へと旅立ちます。彼と、彼の音楽を待つ、人々のもとへ。


グスタフ・マーラー  『心の音を作曲した。夏のコテージ』

(2003/8/27放送)

今回の放送のBGM♪
「交響曲第2番ハ短調<復活>」マーラー
次回(2003年9月3日)の『心に残る家』は
アンデルセン 『愛に包まれた、子供の頃の家』をお送りします。
お楽しみに。