ドストエフスキー  『人生を知った家』

(2004/9/29放送)


モスクワ、ドストエフスキー通り、2番地。
この閑静な住宅街の一角に、
ロシアの文豪、ドストエフスキーの生家があります。


   
父が医者として働いていた慈善病院で産声をあげた彼は、
敷地内の官舎に、家族と共に暮らしました。


   
厳格だった父親は、 彼に外へ遊びに行くことも、友達を作ることも禁じ、
勉強をするよう厳しく言いつけます。


   
そんな彼にとって、唯一の楽しみは、
病院の庭園で交わす、入院患者たちとのおしゃべり。


   
彼らはみな、身よりがなく、
どこにも行き場がなかったけれど、
それでも毎日を、明るく生きていたのです。
その姿に、
人の「強さ」と「哀しさ」を見つめた、少年ドストエフスキー。
 
「苦しみと涙、それもまた生なのだ」(「罪と罰」より)


   
やがて夢を叶え、作家となった後も、
ドストエフスキーは人間の内面の姿を描き続けました。
彼は、いつの日も覚えていたのかもしれません。
人生を彩る、鮮やかな光と影に魅せられた、あの頃を…。


ドストエフスキー  『人生を知った家』

(2004/9/29放送)

今回の放送のBGM♪
「UNDERNEATH」唄JESSIAA SIMPSON
次回(10月13日)の『心に残る家』は
グレン ミラー『母の愛をおぼえた家』
をお送りします。
お楽しみに。