■ 仙洞御所(せんとうごしょ)
  5月13日放送


後水尾上皇の御所として1630年に完成した仙洞御所。同時に皇后・東福門院の女院御所(大宮御所)も建てられましたが、1854年の大火で焼失し、現在は二つの茶室以外に御殿等の建物は残されていません。東山を借景とする庭園は小堀遠州の作で、後に女院御所の庭園(北池)と仙洞御所の庭園(南池)が掘割でつながれました。春の桜、初夏の藤、秋の紅葉と、季節によって表情を変えますが、池を海に見立てて丸石を敷き詰めた洲浜は、仙洞御所にしか見られない景観です。



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京都御苑の中に建つ、
かって皇太后の住まいだった大宮御所。

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その南東に後水尾上皇の住まいとして造営された
仙洞御所の庭園が広がります。
仙洞には仙人の住む場所という意味が含まれています。

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広大な池と豊かな自然。
眩しいほどの新緑が五月の風に揺れています。

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創建時の御殿は火災で焼失し、
今は二棟の茶室が残るだけ。

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池にかかる多くの橋を渡るたびに
趣の異なる美しい風景が現れます。

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季節の花が彩りを添え、
藤の花は王朝の雅を思わせます。

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茶室・醒花亭(せいかてい)の前には、
およそ十一万個もの丸石を敷き詰めた洲浜が
独特な景観を生み出します。

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おおらかで、解放感に溢れる初夏の仙洞御所です。



今回の狙いは藤の花。写真で見ると藤棚いっぱいの藤は見事で、撮影プランを色々と考えていました。ところが、開花が遅れ気味で、撮影日を先送りにしていましたが、結局、今年は花付きが悪く、寂しい映像になってしまいました。とは言えこの日は好天で、藤以外は快調に撮影することができました。

庭園の中で最も有名な洲浜は見事な景観ですが、驚くのは十一万個もの丸い石。小田原藩主が献上するために海岸の石を領民に集めさせたもので、石一つを米一升と交換したことから「一升石」と呼ばれているそうです。江戸時代に十一万の石を集め、京まで運び、綺麗に敷き詰めるのはどんなに大変な事だったでしょうか。州浜を見てそんなことを考えてしまいました。


「GYMNOPEDIE」
作曲者:Erik Satie
演奏者:Toots Thielemans