今週は慈受院を訪ねます。
堀川通りに面して、隠れるように佇む慈受院の前庭。
並んだ石と苔の緑が街の喧騒を忘れさせます。
四月二十六日から初めて公開される尼門跡・慈受院。
薄雲御所とも呼ばれ、室内は雅な風情に包まれています。
今回の公開では寺に伝わる貴重な品々が展示されます。
釈迦の高弟を描いた狩野探幽の掛け軸。
光明皇后の髪の毛を、横糸として編みこんだ奈良時代の経文。
皇后の、仏への深い想いが込められています。
藤原鎌足の生涯を描いた大冠絵巻。
室町時代のままの鮮やかな色彩は絵巻を寺が
大切に守ってきたことを物語っています。
書院の前には苔に覆われる枯山水の庭。
寺に入った皇女たちがその寂しさを
癒したあせびの花が今年も咲いています。