今週の放送内容

慈受院(じじゅいん)
4月19日放送

織物の街、西陣。堀川寺之内に佇む慈受院は、足利4代将軍義持の正室 日野栄子が、亡き夫の遺言により、天皇の菩提を弔うために、1428年に建立したと伝えられている、歴史ある門跡尼院です。源氏物語ゆかりのこの寺は、通常は拝観できませんが、この度初めて公開されることになりました。

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今週は慈受院を訪ねます。


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堀川通りに面して、隠れるように佇む慈受院の前庭。


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並んだ石と苔の緑が街の喧騒を忘れさせます。


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四月二十六日から初めて公開される尼門跡・慈受院。
薄雲御所とも呼ばれ、室内は雅な風情に包まれています。

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今回の公開では寺に伝わる貴重な品々が展示されます。

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釈迦の高弟を描いた狩野探幽の掛け軸。

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光明皇后の髪の毛を、横糸として編みこんだ奈良時代の経文。
皇后の、仏への深い想いが込められています。


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藤原鎌足の生涯を描いた大冠絵巻。
室町時代のままの鮮やかな色彩は絵巻を寺が
大切に守ってきたことを物語っています。

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書院の前には苔に覆われる枯山水の庭。
寺に入った皇女たちがその寂しさを
癒したあせびの花が今年も咲いています。

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写真 交通量の多い堀川通りに面している慈受院は周囲にビルが建ち広い絵がとれません。
門の前は駐車場。しかも門に一番近い場所に車が駐車。
近所のお店の車と分かり、すぐにお願いに行くと快く車のキーを貸してくれました。車を注意深く移動してようやく朝一番の撮影。
門が開くカットなのですがよく見ると右上に駐車場の屋根が少しだけ写り込んでいます。
車は動かせても屋根は動かせません。いつものことですが街中の撮影は邪魔者との戦いです。
又、慈受院のような小さなお寺の場合、特殊機材を使う場所も限られてきます。逆に狭いから内部の移動が楽ではあります。

写真 通常貴重な寺宝にはスタッフは触りません。
撮影の際は寺の人に「1cm右」とか、細かいお願いをしていい位置にセットします。これが意外と時間がとられるので内心は自分たちで動かしたいといつも思ってしまいます。
ところが今回、髪の毛で編んだ経文には誰も触りたいとは思わなかったはずです。この経文、持つと毛がハラハラと落ちてしまいチョット不気味なのです。
とは言え、こういう状態のものが千二百年以上にわたって伝わる事が奇跡であり、それを伝えるスタッフも喜びを現場で感じています。


「Oblivion 〜忘却〜」
作曲者:Astor Paizzolla
演奏者:藤原 道山