第2章 王太子の結婚

1770年5月16日、ヴェルサイユ宮殿の王家の礼拝堂で結婚式が挙げられた。王太子妃の美しい容姿、面長で均整のとれた顔、生き生きとした青い瞳、色白の肌、銀白がかったブロンドの髪などは、人々の賛嘆の的となった。しかしこのうら若い末娘は食事でも遊びでも自由奔放な振舞いを見せ、いかなる予定も守らず、宮廷でのエチケットや礼節、読書のような真面目な活動さえおろそかにするのだった。彼女は馬に乗ったり、狩りをしたり、舞踏会や舞台公演や冬のそり競争を楽しむなどといった気晴らしばかりをもとめたのである。程なくしてマリア・テレジアは娘のこうした態度を叱責した。「とりわけあなたの年齢を考慮すれば、遊ぶことも許されます。しかし楽しみばかりが仕事となり、堅実で有用な事は何もせず、散歩や見物ばかりに時間を費やしていれば、しまいにはそれらが虚しく思われ、もっと上手に時間を使わなかったことを大いに後悔するでしょう」と。

《マリー・アントワネットのヴェルサイユ到着 1770年5月16日、結婚式の日》 1770年、アンドレ・バセ(弟)刊 エッチング、水彩によるハイライト 25.2×34.4cm(画寸) ヴェルサイユ宮殿美術館 ©Château de Versailles
王立セーヴル磁器製作所 パリ、ブールドレー社 《王太子の結婚祝いのテーブル飾りの部分的復原》 1769-1770年、および1880年頃 素焼きの軟式磁器:1769–1770年/トルコブルーの大理石、ブロンズ、金鍍金、鏡:1880年頃 62.5×283×126cm ヴェルサイユ宮殿美術館 © RMN-GP (Château de Versailles) / © Gérard Blot

Special

TOPへ戻る