第9章 王妃の私的な離宮:トリアノン

エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン
《マリー=テレーズ・シャルロット、通称マダム・ロワイヤルとその弟の王太子ルイ・ジョゼフ・グザヴィエ・フランソワ》

ルイ16世とマリー・アントワネットには婚姻後8年の月日が経っても跡継ぎがいなかった。1778年のマダム・ロワイヤルの誕生は国王夫妻を安堵させ、また人々もこれを喜んだ。その3年後、ついに王位継承者であるルイ・ジョゼフ・グザヴィエ・フランソワが生まれることとなる。
王妃の注文によるこの二重肖像画では、子どもたちは田舎風の自然を背景に地面に腰かける趣向が凝らされている。宮廷の公式礼儀とは異なるものの、彼らの服装は、マリー・アントワネットの子女としての地位を想起させるに十分である。幼き王太子は水兵風のシルクサテンの衣服に身を包み、聖霊騎士団の勲章と空色のリボンを身につけている。マダム・ロワイヤルは麦わら帽子をかぶり、縞模様のタフタで袖口が繊細なレースで縁取られたドレスを着ている。彼女は小さな弟に対して見守るような愛情深い眼差しを注いでいる。

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