第9章 王妃の私的な離宮:トリアノン

フランス、またはスウェーデンの画家
《アクセル・フォン・フェルセン》

「スウェーデン人のフェルセン伯爵は、王妃の心を捉えた。かつて奉仕していたフランスを再び訪れ、スウェーデンの新しい礼服に身を包みヴェルサイユ宮に現れた時はとりわけ注目を浴びた。王妃は彼を見いだして、その美しさに引きつけられた」。サン・プリエスト伯爵は、かのスウェーデン人将校をこのように回想していた。彼こそがマリー・アントワネットの恋人であり、革命の動乱において国王一家を堅固に支援し、また1791年の悲劇の逃亡(ヴァレンヌ逃亡事件)のお膳立てをしたアクセル・フォン・フェルセン(1755-1810)である。
スウェーデンに戻った後、彼は生涯を通じて亡き王妃の思い出を抱き続けた。王太子カール・アウグストに毒を盛ったというあらぬ疑いをかけられ、王太子の葬儀当日、群衆によって惨殺された。

Special

TOPへ戻る