第10章 首飾り事件

この有名な事件は、ルイ15世の治世の末期に端を発している。550個以上のダイヤモンドから成る豪華な首飾りをデュ・バリー伯爵夫人に贈るつもりだったルイ15世は完成を待たずに亡くなり、その後マリー・アントワネットは購入を拒否していた。ラ・モット伯爵夫人が、王妃から不興を買っていたロアン枢機卿に、自分は王妃と親しい仲にあると信じ込ませ、王妃がロアンに再び寵愛を与えるのと引き換えに、首飾り購入の仲介を希望していると嘘をついた。ロアンはヴェルサイユの庭園で王妃に扮した女性と落ち合い、後日、首飾りをラ・モット夫人に託したが共犯者たちがすぐさまイギリスに転売したため、首飾りが王妃の手に渡ることはなかった。制作した宝石細工職人たちが王妃に支払いを求め、スキャンダルが発覚したが、この事件は軽薄で浪費家というマリー・アントワネットのイメージを定着させ、王室にも大きな打撃を与えた。

ビュルマ社 シャルル=オーギュスト・べメールとポール・バッサンジュの原作に基づく 《王妃の首飾りの複製》 1960-1963年 ジルコニウム、マジョリカ真珠、銀鍍金の台座 16×24cm(小)、38×104cm(大) ヴェルサイユ宮殿美術館 ©Château de Versailles (Dist. RMN-GP)/©Jean-Marc Manaï
エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン 《白いペチコートに青いルダンゴト・ドレスを羽織って座るマリー・アントワネット》 1788年 油彩、カンヴァス 271×195cm ヴェルサイユ宮殿美術館 ©RMN-GP (Château de Versailles)/©Gérard Blot

Special

TOPへ戻る