第11章 革命の動乱の中の王妃

 

シャルル・テヴナン
《シャン=ド=マルスの連盟祭 1790年7月14日》

1790年7月14日、バスティーユ占領の一周年を祝ってシャン=ド=マルスで祭典が開催された。この行事を表したいわゆる《連盟祭》は、シャルル・テヴナンによって描かれた。開催から18ヶ月後のことである。
当時、国民衛兵の司令官だったラ・ファイエットが開催を提唱したこの記念祭は、「国民と法と国王への忠誠」を誓うことを表明するため集結した民衆と国王との和解を象徴するものであった。この時、巨大な円形スタンドが整備され、楕円の会場中央では「祖国の祭壇」が、数千の聖歌隊と音楽隊による賑やかなミサを迎えることになっていた。この祭壇の両側に凱旋門と階廊席が設けられた。画面右側ではラ・ファイエットが階段を一段一段上がり、宣誓する王と会談すべく歩を進めている。マリー・アントワネットはその後方で王太子〔のちのルイ17世〕を腕に抱いている。画面下方では、憲法制定議会の議員たちが階段席に座っている。この憲法制定をめぐる合意に基づく王と国民との幅広い賛同は、翌年、国王一家の逃亡事件によりその限界が露呈し、1792年王政は崩壊した。

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