世界まる見え!テレビ特捜部
06/12/18 OA
9.11 ユナイテッド93便の真実

2001年9月11日、午前7時。
医療機器メーカーに勤めるトム・バーネットは、
出張先のニュージャージーから自宅のあるカリフォルニアへ帰るため
ニューアーク空港へと向かっていた。
もっと遅い便に乗る予定だったが、
少しでも早く帰って娘達に会おうと1本便を繰り上げたのだ。
しかし、その便こそ、8時発サンフランシスコ行き、
ユナイテッド93便だったのである。

この日、93便の乗客の中には、ハイジャックを目論むテロリストが4名潜んでいた。
フロリダの飛行機訓練学校に通い操縦技術を習得していた。
午前8時、ユナイテッド航空93便は定刻どおりにゲートは離れたものの、
滑走路が混み合い、離陸許可が下りたのは午前8時42分であった。
乗員7名、テロリスト4名を含む乗客37名を乗せて、
93便はニューアーク空港を離陸した。

その離陸から3分後の午前8時45分、
1機目の旅客機がワールドトレードセンターに激突。
同時多発テロが始まった。
さらに18分後の午前9時3分、多くの市民の目の前で、2機目の旅客機が激突した。

そして午前9時28分、ユナイテッド93便では、
テロリストたちは持ち込んだ小型ナイフで、乗客ひとりのノドを切り裂き、
ハイジャックを開始した。
さらにコックピットに侵入し機長と副操縦士を殺害。
主犯ジアドが操縦桿をにぎり、機体を180度旋回。
航路を首都ワシントンDCに変更したのだ。

ハイジャックされた93便の乗客たちは、
機内電話や携帯電話で地上と連絡を試みる。
そして、同時多発テロのことを知ることになるのであった。

午前9時37分、国防総省ペンタゴンに3機目が激突。
アメリカ全土に、かつてない、強い衝撃と不安が駆けめぐった。
その事件を妻から聞かされたトム・バーネットは、
この93便のハイジャックも自爆テロであることを確信する。
機内に衝撃が走り、それはやがて深い絶望へと変わった。
自分たちは助からない...そして、もう二度と家族を会えない....
残していく人を思い、悲しみがこみ上げて来る。

だがなんと、93便の乗客たちは、
この飛行機をテロリストから取り返すことを考え始めたのだ。
機内にあるものの中から武器としてつかえそうなものを探し、戦闘準備を整えた。
そして、重さ100キロ以上の機内食を運ぶカートを、男達が押して突撃。
乗客の突然の攻撃にうろたえるテロリスト。
遺族たちだけが聞いた、ボイスレコーダーの最後の方には、
コクピットのドアの開いた音がしたと言う。
そう、乗客たちに突入され、
目的を達することが不可能と悟ったテロリストたちは、
93便を自ら墜落させることを選んだのではないかと考えられるのだ。
そして…

午前10時3分、ユナイテッド航空93便は、時速930キロで地表に激突。生存者ゼロ。
そこはペンシルバニア州、シャンクスビルの森の端。
首都ワシントンまで飛行機で、あと15分の距離だった。
しかし、この日ハイジャックされた4機の飛行機の中で唯一、
地上に被害者を出すことがなかったのである。

乗客たちの勇気ある行動が、さらなる悲劇を防いだのである。
数日後、墜落現場を訪れた遺族たちを待っていたのは、
襟を正し、最敬礼で迎える30人もの地元警官たち。
それは、極限状況の中、奇跡的な精神力で、人知れぬ戦いを挑んだ
乗客たちへ捧げられた敬意の現れであった。
 
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