世界まる見え!テレビ特捜部
07/11/26 OA
徹底解明 恐竜の謎を追え!

2002年、アメリカ・モンタナ州。
バッドランズで、ある恐竜の全身の化石が見つかった。

なんとこれ、60年前に頭だけが見つかった謎の恐竜と同じ種類である可能性が!
つまり、その正体が明らかになれば、新たな歴史を刻む大発見なのだ。
そこで、この化石は「ジェーン」と名づけられ、土の塊ごと掘り出されると、
バーピー自然史博物館へと運ばれ、慎重に発掘が進められたのである。


そんな中、まず最初に注目されたのが、鋭い歯。
これは、ジェーンが肉食であることを示している。
また、発掘されたときの地層から、
およそ6600万年前の白亜紀後期に生息していたと推測された。
さらに発掘時、頭と尻尾が上に反り返った形でいたことに注目。
これは、恐竜の「死のポーズ」と言われるもので、
死後、骨と骨を結ぶ靭帯(じんたい)が縮むため、こういう姿勢になるのだと言う。
そして、他の恐竜に食い荒らされた形跡がないことから、
水辺で息絶え、長雨でそのまま土に埋もれたと考えられるのである。


こうして徐々に、ジェーンの在りし日の姿が分かってきた。
ところが、別の専門家から、全く新しい仮説が飛び出したのだ!
それは…
「ジェーンはティラノサウルス・レックスの子どもではないか?」というもの。


そう、T−REXの子どもの完全な化石も未だ見つかっていないため、
ジェーンがその子どもだとすれば、これまた大発見なのだ。
だが、本当にジェーンはT−REXの子どもなのか?


そこで、ジェーンの骨を使った、ある調査が行われた。
実は、骨の断面には「成長輪(せいちょうりん)」と言う、
骨が成長する際、一年に一本できる線があり、
これを見れば、ジェーンの年齢が分かるのである。
その結果、ジェーンの年齢は、およそ11歳と判明した。
そして、T−REXの11歳頃の体格は、ジェーンの大きさと、ほぼ一致。
これにより、ジェーンがT−REXの子どもである可能性は高まった。


ところが、ジェーンとT−REXでは、まったく異なる点も見つかった。
例えば、上あごにある「方形頬骨(ほうけいきょうこつ)」と言われる骨は、
ジェーン独特のもので、ほかのどの恐竜のものとも似ていない。
さらに、ジェーンの歯が17本あるのにたいし、T−REXの歯は多くても13本。
これでは、ジェーンがT−REXの子どもとは言い切れないのだ。


そこで、また新たな仮説が打ち出された。
それは、ジェーンとT−REXの上あごに注目したもの。
実は、ジェーンとT−REXの上あごの長さは、ほとんど変わらない。
しかし、歯の大きさは、ジェーンが小さく、T−REXのはやたらと大きい。
つまり、T−REXの子どもは、歯の発育が、上あごの発育より早く、
大きくなる歯を小さい上あごに収めるために、
歯の本数を減らしながら成長したのではないかと、考えたのである。


そこで、2005年、ジェーンはT−REXの子どもとして正式に発表。

ようやく、その正体が判明した!と思いきや…
なんと、ジェーンがT−REXの子どもではない!と言う、新たなデータが!


それは、ジェーンの頭の骨のCTスキャン。
これをみると、頭の骨内部の空洞の形=脳の形が、明らかに違うことが判明。
それは、子どもが大人に成長することによって起こる変化とは、全く別のもの。
ジェーンとT−REXが異なる恐竜だといわざるを得ないデータだと言う。


こうして、再び謎に包まれた、ジェーンの正体。
今後、あらたな化石が発見され、さらなる調査が進展することが期待されている。


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