世界まる見え!テレビ特捜部
08/09/22 OA
私もママになりたい

韓国・ソウル。
この街のラジオ局で活躍している、人気DJ、ユン・ソナ。
彼女は、生まれた時から、極めてまれな骨の病気「骨形成不全症」を抱えていた。
この病の特徴は、骨が弱く折れやすいということ。
ソナは、これまで実に60回を超える骨折をし、たび重なる手術によって、
背骨や太ももの骨は、S字に変形。
その影響で身長は120センチほどしかなく、松葉づえなしでは歩くことが
できないのだ。
そんな彼女をやさしく気づかい、懸命に支えているのが、夫ビョン・ヒチョル。
2人は、周囲の反対にあいながらも、愛をつらぬいて結婚。
そして、ある強い想いを抱き始めた。
それは赤ちゃんを授かり、パパとママになること。
だが、子どもを産むのは決して容易でないことを、ソナ自身が一番わかっていた。
そこで2人は医師と相談し、体外受精の方法のひとつ、顕微授精を行うことに。
顕微授精とは、取り出したソナの卵子に、ヒチョルの精子を注入して受精卵を作り、
これをソナの子宮に戻すという方法。
だが・・・ソナの体に、新たな命が宿ることはなかったのだ。



あれから、3か月後。
ソナとヒチョルは、再びクァンドン医大第一病院にいた。
あきらめきれない2人は、もう1度だけ、チャレンジすることにしたのだ。
すると1週間後・・・ついに念願の命が、ソナのお腹に宿っていた!
だが、ソナの体は大丈夫なのか?無事に出産まで行きつくことは、できるのだろうか?
2007年11月(妊娠6か月目)
2人が暮らすマンションでは、身重な妻の体を気づかい、
夫のヒチョルが、一人でいっさいの家事をすべて行っている。
そして、病院で撮影したソナのお腹の超音波映像をながめては、
順調に育っている我が子の姿に、2人で胸をはずませていた。
だがそんな中、ソナの心には、ある大きな不安が・・・
生まれてくる赤ちゃんが、自分と同じ病気を抱えていないか、が心配なのである。
2008年2月(妊娠8か月目)
この日、引っ越しが行われた。
実は、ヒチョルが、『ソナに何かあれば走って戻れるように』と、
自分の会社のすぐ近くに新しい部屋を借りたのだ。
この頃になると、ソナは一人で立ち上がることさえ、できなくなっていた。
日に日に重くなる赤ちゃんが、この体にかける負担は相当なものなのである。



そして、2008年3月(妊娠9か月目)
定期検診のため、2人は病院を訪れた。
ヒチョルが見守る中、ソナの腹部にセンサーがあてられ、胎児の状態を確認する。
すると・・お腹の赤ちゃんを外に押し出すために起こる、子宮の収縮、
いわゆる陣痛が予定より早く始まっていたのである。
この連絡を受け、ただちに担当医師がソナのもとにかけつけた。



実は、骨形成不全症を抱えているソナの場合、骨だけではなく、
体の組織も弱いため、本格的な陣痛が起これば、
子宮が耐えられない恐れがあると、医師は考えていた。
そのためソナには、陣痛が激しくなる前に子どもを出産できる、
帝王切開の手術を行うことになっていた。
しかし、赤ちゃんの発育を考えれば、もう少し長く、お腹の中で成長させたい・・・
医師チームはソナを入院させ、いつ起こるかわからない、本格的な陣痛にそなえ、
24時間、万全の態勢を整えたのである。



そしてこの日から、ヒチョルも、泊まり込みで付き添うことにした。
だが、ソナの出産には、さらなる問題が・・・それは・・・
「一般的に、帝王切開を行う時は、子宮を切開し、
赤ちゃんが出やすいように、お腹の上部を押します。
しかし彼女の場合、ろっ骨が弱く折れる危険があるので、
お腹を押すことができません。
そのため、出血量が増えるのを覚悟の上で、
子宮を通常より大きく切るしか方法がないんです。」



医師の話にショックを受け、思い悩むヒチョル。



「ソナの体のことを考えると、これで本当に良かったのかと思います。
僕たちは、他の夫婦と同じように子どもを授かり、
幸せな家庭を、築きたかっただけなんですが・・・」



そして、入院から2週間後の3月20日。
ついに、ソナの帝王切開が行われることになった。
非常事態にそなえて、輸血用の血液が大量に用意され、
15人もの医師たちによる、大手術が開始された。
ソナのお腹にメスを入れ、子宮を切開、なるべく赤ちゃんを早く取り出し、
ソナの出血を最小限におさえられるかは、医師たちの腕にかかっているのである。
すると、子宮切開からわずか2分・・・赤ちゃんの姿が・・・
吸引器で必死に羊水を吐き出させる。そして・・・
ついにソナとヒチョルの宝物が、この世に生を受けた。体重2200グラムの男の子。
しかも、ソナが心配していた骨形成不全症ではなかったのだ。
いくつもの苦難を乗り越え、ようやく授かることができた、念願の赤ちゃん。
ソナは、その腕で、初めて抱きかかえる時がやってきた。
想い抱いていた2人の夢が、ついに現実のものになったのである。
その後、赤ちゃんはスンズゥンと名付けられ、すくすくと元気に育っている。
さまざまな困難をのりこえ、夢をかなえた、ソナとヒチョル。
これからは、親子3人、愛情に満ちた家庭を築いていくに違いない。


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