世界まる見え!テレビ特捜部
08/10/27 OA
美人秘書 死体なき殺人事件

1996年、アメリカ・デラウェア州ウィルミントン。
ある夜、州知事の美人秘書、アン・マリー・フェイヒー(30歳)が
いなくなったとの通報が入った。
姉の話しでは、2日前から連絡が取れなくなり家を訪ねてみたが不在のうえ、
留守番電話が3日前からチェックされておらず、
車も玄関前に放置されていると言う。
これは事件に巻き込まれた可能性が・・・ 
翌日、300人以上が動員され、大掛かりな捜索が開始。
だが、手がかりは何も見つからず、捜査は暗礁に乗り上げた。



< 捜査開始から 数日後 >
捜査官が、アン・マリーの日記を発見。そこには驚くべき秘密が!



「私は特別な人と恋に落ちました。もう彼なしでは生きていけない」



しかし、日記の最後のページには同じ男性について、こう書かれていた。



「トム・カパノは独占欲が強く嫉妬深い恐ろしい人。私は彼と別れることにしたわ」



トム・カパノ。彼は、州知事の弁護士。
カリスマ弁護士として名を馳せ、政治的人脈もあり、
地元では指折りの有力者なのだ。



この日記が正しければ、トム・カパノは既婚者でありながら、
アン・マリーは2年間に渡り、不倫関係を続けていたことになる。
捜査の目は、彼に注がれた。だが、ここで問題が。
州知事の弁護士であるうえ、有権者の後ろ盾をもつトム・カパノに
あらぬ疑いをかけたとなれば、逆に訴えられてしまう。



そこで、アメリカ連邦政府から 敏腕検事コルム・コナリーが派遣された。
彼は、状況証拠をそろえるべく、彼の通信記録や
クレジットカードの利用明細をくまなく調べることに。
その中にあったのが、「300ドルのカーペットの領収書」。
彼の家政婦によれば、なんとアン・マリーの失踪後すぐに、
家のカーペットが替えられたというのだ。
これにより、トム・カパノの令状がようやくおりたのである。



< アン・マリー失踪から1か月 >
トム・カパノの自宅に捜査官たちが立ち入った。
そこで見つけたのは、バスタブに付着した、直径わずか1ミリ程の小さな血痕。
これが、アン・マリーのDNAと適合すれば、
トム・カパノの自宅で何か事件が起きたことを証明できる。



早速、DNAを採取できるものを探しに、アン・マリーの家に直行。
ところが、アンは潔癖症だったため、部屋は掃除され、髪の毛1本すらない状態。
結局、家からDNAを採取することはできず、捜査はまたも行き詰まってしまった。



そこでコナリー検事は、トム・カパノの身近な人物から攻める作戦にでた。
それは、トム・カパノの弟 ジュリー。
するとジュリーが、アン・マリーの失踪直後に、
所有するボートを売っていたことが判明。
そこで、捜査官達は、ジュリーに密着。
実に14か月間、監視し続け、ついに麻薬の不法所持で彼を逮捕した。
そして、コナリー検事は司法取引による免罪を条件に、
弟ジュリーに、兄トムについて知っていることを告白させたのである。



すると、弟ジュリーは
「兄トムに、ボートにクーラーボックスを積むよう指示され
沖で海に投げ込むのを手伝わされた」ことを話し始めた。
しかも、クーラーボックスが沈まなかったため、兄トムは銃を発砲。
その後、あきらめて中のものを取り出し、鎖を巻き付けて海に沈めたと言う。
そのとき、弟ジュリーは、海底に沈んでいく人間の足を見たと語った。
コナリー検事は、それがアン・マリーの遺体に間違いないと思った。



< アン・マリー失踪から 1年5か月 >
この弟ジュリーの証言が決め手となり、ついにトム・カパノを逮捕。
だが、敏腕弁護士であるトム・カパノは、
状況証拠だけで有罪に出来るはずが無いと自信を持っていた。
ところが・・・



逮捕の翌日、コナリー検事は思いがけない証拠を手に入れた。
トム・カパノ逮捕の記事を新聞で読んだ漁師から、クーラーボックスを海で拾い、
物置に保管していると言う連絡が。
すると、そのクーラーボックスには、トム・カパノが撃ったと思われる弾痕が。
更に、クーラーボックス内に残っていた血痕と、
トム・カパノの家のバスタブにあった血痕が一致。
さらに、アン・マリーが失踪前に献血していたことが判明したため、
その血液と照合したところ、なんと3つが一致!
バスタブの血痕は、アン・マリーのものと断定されたのである。



この粘り強い捜査によって集められた証拠により、
トム・カパノは有罪に。
彼はアン・マリー・フェイヒー殺害で死刑を宣告された。
その後、トム・カパノは再審を三回請求したが、すべて棄却されている。
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