世界まる見え!テレビ特捜部
09/06/29 OA
一触即発 50万ボルト VS ラインマン

アメリカ南部に位置する≪アーカンソー州リトルロック≫には、
万が一、故障やトラブルが発生すれば、何百万世帯が停電となり、
都市機能を失う可能性があるという「送電線」が存在する。
そんな送電線を命がけで修復・整備作業をしているのが、
≪エア2≫という会社の腕利きラインマンたちなのだ。
今回の任務は、電線同士の接触を防いでいる三角形の器具、
《スペーサー》の交換作業。
高さ50メートルの送電線にヘリコプターで近づき、
老朽化したスペーサーを3日間で300個交換していく。
しかし、その間、人々の生活に不可欠な電気を止めるわけにはいかないため、
電気が流れたまま、作業をしなくてはならない。
「240ボルトで人間は死に至る」といわれる中、
50万ボルトもの電気が流れている送電線にどうやって近づくというのか。



そこで登場するのが、金属でできた≪ワンド≫と呼ばれる棒。
電気は、電圧の高い方から低い方へと流れる性質を持つため、
ワンドという棒を使って電気を受け取り、
送電線と人間、ヘリコプターの電圧を同じにさせるのだ。
さらに、人体に比べて電気抵抗の小さな金属製の導電服を着ることで、
服に電気を多く流し、人体に電気を流れにくくさせ、
感電のリスクを下げているのである。



また、電気には
【金属で作ったかごの外側から電気を流すと、金属の外側を流れ内側に及ばない】
という、特殊な性質がある。
この性質同様に、ヘリコプターが、かごと同じ役割を果たすため、
パイロットが感電することはないという。



もう一つスペーサー交換で欠かせないのが、ヘリコプターの操縦テクニック。
ラインマンが作業しやすいよう、送電線ギリギリのわずか15センチまで接近し、
一定の場所でヘリコプターの位置を保つ。
送電線修復の命がけの仕事は、ラインマンとパイロットの
究極の職人芸によって成し遂げられている。
ちなみに、彼らの給料はアメリカの平均月収の倍以上、
およそ50万円を超えるという。
だが一方で、事故が頻繁に発生、3週間に1人の割合で死亡者が出ているという。



次の仕事は、16万ボルトの送電線がある腕木の交換作業。
老朽化した木製の腕木を、鋼鉄製に交換するのである。
まずは、地上30メートルの高さにある腕木の上に、ラインマンが待機。
ヘリコプターで、220キロの鋼鉄製の腕木を運び、絶縁体のポールを使って、
16万ボルトの電流が流れる送電線に新しい腕木を取り付ける。
これは百戦錬磨のラインマンですら経験したことのない、超危険な作業。
彼らは、一度失敗するも2度目の挑戦で見事成功。
2時間後、ついに送電線の取り付けに成功し、腕木の交換作業が終了した。



命をかけて送電線の修復作業を行う電線工事のスペシャリスト、ラインマン。
彼らの活躍によって、今日もアメリカの夜は明るく輝いている。



携帯サイト