世界まる見え!テレビ特捜部
09/09/28 OA
結合双生児 奇跡の大手術

2001年6月2日。
エジプト南部の街クースで、頭同士がつながった結合双生児、
兄≪アハメド≫と弟≪モハメド≫が誕生した。
頭蓋結合という奇形が発生する可能性は、出産数全体の1250万分の1。
医師からは、こうした双子の4割は死産、
産まれてもその3分の1が24時間以内に亡くなると言われていた。
しかし、誕生したアハメドとモハメドは、
生まれて4〜5時間もすると普通の赤ちゃんのように体を動かし始めたのだ。



こうして、奇跡的に生き延びることができた彼らだったが、
父イブラヒムは、この先彼らをどうやって育てていけばいいのか、
どうしてやれば良いのか全くわからなかい。
そんなある日、2人の主治医からアメリカ、ダラスの病院に在籍する
頭部と顔面手術の世界的権威である≪ケネス・サリヤー≫医師の紹介を受け、
両親は、サリヤー医師のいるアメリカへ向かうことに。



入院から8ヶ月後。
まず、後頭部が結合している2人の頭にシリコン製の風船を入れ、
それを徐々に膨らまし頭の皮膚を伸ばすことからスタート。
これは、分離後に皮膚で脳を覆えるようにするため。
皮膚が伸びるには、少なくとも半年はかかると考えられた。
また、2人の頭の中で血管がどのようになっているかを確認するため、
専門の業者に依頼して双子の頭の内部の模型を作成。
模型を元に、手術の計画を立てていった。
こうして準備が着々とすすめられること1年。
2003年10月11日午前4時、ついに手術の日がやってきた。
手術は、長時間に及ぶことから75名もの医師が交代制で行う。
まずは、双子の脳内に入れたシリコンの風船を取り除き、
つながった頭蓋骨を開いていく。
4時間後の午前8時、最大の難関である脳の血管の分離に取り掛かる医師たち。
少しでも手先が狂えば、出血多量で双子の命が危険にさらされてしまう。
続いて、2人を回転させながら、くっついた脳を分離。
そして開始から32時間が経過した、12日午前11時34分。
ついに頭部を切り離すことに成功!!
アハメドとモハメドは、別々の体となったのだった。



ここからは、2カ所に別れて手術が再開。
雑菌などが入らないように、伸ばした皮膚を使って、脳を覆う作業が始まる。
そして、すべての作業は終了。手術は無事成功したのだった。



その後、回復室に運ばれた兄弟は、
心配されていた感染症や脳の髄液の漏れもなく順調な経過を見せ、
続いて頭蓋骨形成手術が行われることになった。
これは、頭蓋骨の足りない部分を、
やがて体に吸収される素材で作ったネットで覆い、
それぞれの頭蓋骨から切り出した骨のかけらを貼り付けると、
骨片がネットにそって成長し、いずれ完全な頭蓋骨ができるというもの。
ほとんど前例のないこの手術がうまく行かなければ、
双子の脳は、雑菌や衝撃といった外部からの脅威にさらされることになる。
こうして手術を終えた双子は、頭蓋骨の変わりとなるヘッドギアをかぶり
帰国の途へ。
果たして彼らの頭蓋骨は無事に育ってくれるのだろうか?



それから6年後。
まる見え取材班がエジプトに行ってみると・・・
彼らは、立派に成長していた。
リハビリにより、歩行も出来るようになり、
今も、診察やリハビリを続けながら、さらなる回復を目指すと言う。



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