世界まる見え!テレビ特捜部
10/12/13 OA
断崖絶壁をよじ登る男

『フリーソロクライミング』とは、道具を何も使わず、命綱もつけずに断崖絶
壁をひとりで登り切る究極のスポーツ。ひとつでもミスを犯せば、地面に落下
し、命の危険は免れない。そんな危険度の高いフリーソロクライミング界で、
現在、最強と言われているのが「アレックス・オノルド25歳」。
アレックスはいつでも、どこでもすぐに登りにいけるようにバンで暮らしてい
る。この日やって来たのは<ユタ州>の砂漠地帯。今回挑戦するのは、
高さ370メートルの断崖絶壁"ムーンライトバットレス"。アレックスは
挑戦の前に、断続的に裂け目が入っている壁面を見て、いけると判断したら、
頭の中で、どのようなルートで頂上まで登っていくか計画を立てるのだ。

挑戦開始。まるでコンビニへ買い物に行くような軽装。
岩の裂け目に慎重に指を入れ、つま先を壁面のでっぱりにひっかける。
この時、岩の裂け目にはまっているのは、2本の指の半分ほどだけ。
こうして約1時間半をかけて、この崖を世界で初めてフリーソロで登り切った。

次なるターゲットは、<カリフォルニア州・ヨセミテ国立公園>の象徴、
高さ600メートルの"ハーフドーム"。通常登るには1〜2日位かかるのだ
が、アレックスはロープも休憩もなしで、数時間で登ろうというのだ。
彼は、その挑戦の前に<カリフォルニア州・サクラメント>にある実家を訪れ、
母親「ディエドラ」と会った。母親は世界で一番の息子アレックスのファン。
母親と過ごし、リラックスできたアレックスは命をかけた挑戦を開始。
眼下に広がる気の遠くなるような風景。もし足を踏み外せば、命はない。
しかし、彼はまるで恐怖など感じている様子はなく、一心不乱に登り続ける。
彼は、『岩に登っている時は、心に鎧のようなものをかぶせることが出来、
余計な事を考えずに精神を集中させられる』という。
しかし高さ550メートルに到達した時に、思わぬ事態が発生。
アレックスが突如、登ることを止めてしまったのだ。カメラマンは無理だった
らやめた方がいいと提案。しかし数分後、何かが吹っ切れたかのように再び
登り始め、ついに約2時間50分をかけ登頂に成功した。
彼は、途中で止まってしまった時の事を『なぜか心の鎧が外れてしまい、
地上550メートルにいることを実感、なぜこんな事をしているのかと
心を乱してしまった。本当に怖い瞬間だった』と語った。

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