世界まる見え!テレビ特捜部
11/03/07 OA
超危険!父が働く 毒ガス鉱山

<インドネシア>にある「カワ・イジェン火山」。

この噴火口には『硫黄』が取れる鉱山があり、多くの運び屋が働いている。
それは常に死と隣合わせの過酷な仕事。
火口付近の焼けるような熱さと硫黄独特の臭いがある有毒なガスが、
容赦なく吹き付け、長時間吸い続けると、中毒を起こし、命をも奪ってしまう。

朝5時から彼らの仕事ははじまる。
「マトラサン(31)」は13歳からこの火山で硫黄を運んできた大ベテラン。
妻と3人の子どもを養う為、灼熱地獄ともいえる噴火口の中へと降りていく。

硫黄鉱山となるのは、硫黄を含んだ火山ガスが噴火口に繋がれたパイプを通り、
液体となって地上へと流れ出でる場所。
そこで冷たい外気に触れて固まった硫黄の塊を集め、運ぶ。
「マトラサン」が運んだ硫黄はおよそ75kg。
1kgあたり日本円でおよそ6円でやりとりされるので、今回はわずか450円。
だがそれでも彼らが硫黄を採って得る月収は、インドネシア平均月収の倍近い。

「マトラサン」は家族と一緒に診療所を訪れた。
最近体調不調という「マトラサン」は生まれて初めて医者に診てもらう。
診察の結果、マトラサンの肺には硫黄が入り込み、いつ命を落としても
おかしくないという。彼の様に、この鉱山で働く人たちの寿命は、
40歳を越えることはほとんどない。

しかし、ここには「運び屋」よりも危険な仕事があった。
それは噴火口の中にある広大な硫黄鉱山施設を整備する『火山整備工』。
大量の有毒ガスが噴出する中、防毒マスクをしても5分ともたない。
煙で、足元もおぼつかない中、彼らはパイプを修理する。
しかし、彼らの収入は、運び人の半分しかないのだ。

火山整備工の多くは、元々硫黄を運んでいた人たちだという。
12年前、毎日80kgを超える硫黄を肩に載せて運んでいた「アンディー」も、
肩にできたはれものが出血するようになり、ついに硫黄を運ぶことが
出来なくなってしまったのだとか。
体を壊しながらも、彼が有毒ガスの中で働き続けるのには訳があった。
それは、20歳の愛娘を大学に通わせるため。
<インドネシア>の貧しい地域では、教育を受けることが
貧困から抜け出せる唯一の手段。
どうしても娘を大学に行かせたかった「アンディー」は、家族との時間や、
自らの体を犠牲にしても、娘が成功するその日まで、火山で懸命に働き続ける
のだ。
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