世界まる見え!テレビ特捜部
11/11/07 OA
19歳息子が母親を殺す 冷酷殺人の真相

1991年1月1日<カナダ東部・ニューファンドランド島>で、「キャサリン・キ
ャロル(45歳)」が53か所もメッタ刺しにされ、殺害される事件が発生した。
捜査は全く進展なく、早くも行き詰まりを見せる。
そんな時、キャロルの近隣に住む「シンディ・グリーン」という女性が犯人である可
能性が高いという人物の情報を捜査官に提供してきた。その人物とは息子の「グレゴ
リー(19歳)」。彼女によると被害者キャロルは、息子グレゴリーに怯えていたとい
う。更に、親子の不仲を裏付ける証言が、グレゴリーの友人「ブライアン・ドイル」
からも得られた。グレゴリーが母キャロルに向けて缶ビールを投げつけたり、母親を
誹謗中傷するような内容の歌をグレゴリーが歌っていたりしたと証言。しかも、実際
に曲が収録されたカセットテープを提出。これらの証言から捜査官の疑いはグレゴリ
ーに向けられることになる。
グレゴリーは、ウソ発見器での調査を願い出た。しかしその結果はより疑いを強めた。

そして、事件の9日後、グレゴリー・パーソンズは殺人容疑で逮捕、起訴。
初公判で、審判員たちは19歳の息子が実の母親をメッタ刺しにしたという残忍な犯行
に、大きなショックを受ける。更に検察が提示したグレゴリーの歌を聞かされ、
弁護側がどんな反論をしても、彼が無罪になる可能性はなくなった。

1994年2月15日、凶器の発見もなく、グレゴリーは殺人罪で終身刑の判決を受けた。
しかし弁護側は控訴。
そして1996年12月、州裁判所は証拠不十分として、この事件の再審を命じ、
警察の再捜査がスタート。犯行現場に残されていた血痕のDNAを再鑑定することに
なった。事件当時に比べ、飛躍的に進歩していたDNA鑑定技術により、
犯行現場から2人のDNAの特定に成功。一つは被害者キャロルのもの。もう一つは
グレゴリー以外の男性のものであることが判明。事件から実に7年後、グレゴリーの
無実が証明された。では、真犯人はいったい誰なのか?

警察は、再捜査を開始。街に住むほぼ全員の男性からDNAを採取し鑑定を行った。
すると、犯行現場に残されていたDNAと一致こそしないものの、非常に似たDNA
をもつ人物を発見。その人物の名は「マイケル・ドイル」。DNAが似ているという
ことは、真犯人が彼の血縁者である可能性が高い。そして、一気に捜査線上に浮上し
たのが、彼の弟でグレゴリーの遊び仲間だった「ブライアン・ドイル」。グレゴリー
が不利になるような曲のカセットテープを警察に提出していた男だ。
警察はトロント郊外へ引っ越していたブライアンを探し出し、地元警察の協力を得て、
DNA検出の為に彼のタバコの吸い殻を回収。鑑定してみると、犯行現場で検出され
た男のDNAと一致。

2001年6月、ブライアン・ドイル逮捕。ブライアンは、犯行当日の詳細を自供。
だが犯行の動機を語ることはなかった。裁判の結果、ブライアン・ドイルは終身刑を
言い渡される。そしてグレゴリーは、現在消防士として働きながら、冤罪事件の被害
者を支援している。


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