≪睡蓮≫に描かれているその庭は、ジヴェルニーのモネの自宅にあります。当時すでに画家として成功をおさめていた彼は、“理想の絵を描くため”に土地を手に入れ、好み通りの庭を造ったのです。
 ≪睡蓮≫に描かれているのは「水の庭園」と呼ばれる一角。浮世絵に憧れていたモネは、ここに日本庭園をまねて、柳を植え、藤棚をつくり、池には睡蓮を浮かべました。片や、自宅の前にある「花の庭園」はフランス風。
しかも門から玄関に向かう小道をはさんで左右対称にブロックを分け、四季折々の花や木を育てました。春の水仙にはじまり、チューリップ、ツツジ、シャクナゲ・・・。モネが一番好きだったアイリスは縦横何列にも渡って植えられています。夏はスイートピー、バラが咲きます。そう、バラにはモネにちなんで、「クロード・モネ」という種類があります。赤と白のマーブル模様が特徴のすてきな花です。秋になればダリア、アネモネなどが咲き、冬は温室でベコニアなども育てていました。今でも10人の庭師が手入れをしている(当時、モネは7人の庭師を雇っていたそうです)この庭園に咲く花は、なんと10万種!日本人の友人から贈られた桜の木や牡丹などもあります。