クロード・モネ(Claude Monet,1840〜1926)




 クロード・モネ
 Claude Monet, 1840〜1926
 クロード・モネ(Claude Monet,1840〜1926)は、"印象派の巨匠"として、多くの人々に親しまれてきました。日本では幾度もモネを含む印象派の展覧会が開催され、そして今日まで、非常に人気があるのは、そのモチーフと表現が親しみやすく、美しいからと言えるでしょう。しかし、これらの作品が発表された当時は、多くの批評家から非難をあびました。モネの表現方法は、当時主流であった伝統を重んじたアカデミックな作風とは、かけ離れた先端の表現法だったからのようです。ありのままの様子を自然に描く、太陽の光に照らされた明るい画面をつくりだすという表現は、当時は画期的なものでした。

 モネの芸術に対する探究心は年老いても衰えることはありませんでした。本展に出品されるモネの作品は、日本のファンにとっては、比較的馴染みが薄いと思われる晩年に制作された作品が中心となります。光と色彩を追いかけた画家は、晩年、セーヌ河沿いの小さな村ジヴェルニーに自宅とアトリエを構え、終生まで創作活動を続けます。自宅の壁には日本の浮世絵を飾り、太鼓橋のかかった池、藤や柳が植えられた日本風の庭園をつくりました。この庭園を目の前にし、昼過ぎから日没まで刻々と変化する様子を描き分けた≪睡蓮≫の連作や≪日本の橋≫、≪しだれ柳≫などが描かれました。
 そして、最晩年には、白内障という病のため視力が衰えてゆく中、池の水面だけが主題となった作品が描かれてゆきます。さらに、同時代の画家仲間を、そして最愛の家族を次々に失い、虚無感にさいなまれていきました。その過酷な精神状況の中で生み出された作品は、みなさんの目にどのように映るのでしょうか?