2回目でもおいしい!目がテン!?ライブラリー


コツを科学 焼肉 の謎  #557 2000/11/19

 最新ますます人気が高まっている人気の外食、焼肉。しかし網の上で焼いて食べるこの形になったのは終戦直後、と意外とその歴史は浅いのです。しかし、なぜ肉をただ焼くだけのこの料理がこれほどに人を虜にするのでしょう?肉は焼くとおいしくなるのでしょうか?生では食べられないものなのでしょうか??

 今回はそんな焼肉を科学の力でおいしくします!?

 美食を探求する自称美食家・矢野大路魯山人(矢野明仁)が今回、うまい焼肉を求めて立ち上がります。
 やはり新鮮な肉こそうまいのではないのか?矢野大路魯山人は早速、とりたての牛肉を求め、ハムの製造会社を訪れました。そこに出てきた新鮮な肉、切ってみました。すると魯山人びっくり!なんとその色はスーパーで見るあの鮮やかな赤色ではなく、なんだか黒ずんでいました。しかしその1時間後、肉は赤く変色していました。いったいどういうことなのでしょう?その秘密は酵素にありました。肉の中にある血液のヘモグロビンに似た物質、ミキグロビンが空気中の酸素に結合して赤くなるのです。もともと取りたての肉は黒味を帯びているのですが、切り分けて断面が増えることによって酸素と結びつき、店頭に並ぶ頃にはすっかり赤くなっているというわけです。

 さらに魯山人が食してみてまたまたビックリ!期待を裏切るその味…なんだかひと味足りなく、硬いのです。いったい何が起きたのでしょう?実は取りたての肉は死後硬直した肉だったのです。生きている時の牛の肉、筋肉は、ATPという物質をエネルギー源と潤滑油にして伸縮しています。しかし肉になってしまうと、ATPが供給されなくなって伸縮しなくなり、硬くなってしまいます。これが死後硬直の正体です。そこで肉は、微生物が繁殖しない0度の状態で1週間出荷されずに留め置かれます。この間、肉の中に残っていたATPが、旨味成分のイノシン酸に変化します。さらにタンパク質が分解酵素の働きで、同じく旨味成分のグルタミン酸になります。この過程を熟成と呼びます。この肉はお肉屋さんに出荷されてから、更に1週間寝かせます。つまり牛肉は、取り分けてから2週間熟成されるのです。ちなみにこの熟成期間は、肉によって異なり、豚肉は3〜5日、鶏肉は12〜24時間、魚は24時間ほどです。同じ肉でも、ホルモンなどの内臓は腐りやすいので、新鮮なものを食べます。

所のポイント牛肉は、2週間かけて熟成して、美味しくなってから店頭に並ぶ!


電子顕微鏡写真  なぜヒトは生の肉をあまり食べないのでしょうか?なんとなく火が通ってないとあたりそうなイメージが有ります。しかし調べてみると、生の肉にも特に菌などはついていないのです。ではうまさが違うのか?そこでうまみ成分を測定してみました。すると、なんと、生の肉と焼いた肉のうまみ成分は全く同じだったのです!更にその数値は、焼いたものより生のほうが高かったのです。ではなぜ、人は生の肉を食べないのでしょうか?試しにライオンの気持ちになって生肉を食べてみました。すると噛み切れません。そこで噛み切る力を測定してみることにしました。すると、生肉を噛み切る力は60グラム。それに対して普段生で食べている魚の刺し身は6分の1の10グラム。電子顕微鏡で2つを比べてみると、生肉のほうが筋繊維は太いのです。この生肉、なぜ焼くと美味しく食べられるのでしょう。今度は焼いた肉を電子顕微鏡で覗いて見ました。すると熱で筋繊維のタンパク質が変化して切れています。実際、噛み切る力を測定すると、3分の1の20グラムの力で済みました。さらに別の実験をしてみました。胃液に含まれる消化酵素ペプシンに、刺し身と生肉、そして焼いた肉をつけてみました。24時間後、結果は一目瞭然でした。刺し身と焼いた肉は解けていたのに対し、繊維の太い生肉は、消化しきれずに残っていました。噛みやすく消化しやすい。そのためにヒトは肉を焼くのでした。

目がテン特製焼き肉調味料  焼いた肉がおいしく食べられる理由の大きな一つが、肉汁が出ること。成分を調べてみると、なんと肉のうまみ成分のほとんどがこの肉汁に有ったのです。肉を焼くと、細胞が壊れ、中にあった旨味成分と脂が溶け出して混ざり、肉汁となって出てくるのです。そこで旨味が凝縮された、この肉汁を採取すれば、究極の調味料が出来るのではないでしょうか?

 そこで「目がテン!」では焼肉屋さんで50人分の、肉を焼いていて落ちてしまった肉汁を採取。そこから調味料作りに挑戦です!不純物を取り除き、エーテルを加えて脂分も除いたものに熱を加えて凝縮させます。それをフリーズドライにして粉末状にして完成です。ご飯にかけると、確かに焼き肉の味が…でもなんだか味気ないですね。

 肉汁をうまく閉じ込めることこそ、うまい焼肉を焼くコツだったのです。矢野大路魯山人は、町の焼肉屋さんに出向き、みんなの肉を焼く平均タイムを測定してみました。すると、タイムは平均2分。果たしてこれでいいのでしょうか?そこでさまざまな時間で肉を焼き、にゅう鉢で15回すりつぶしてみました。これは噛む行為を再現しています。その時1番肉汁が染み出ているのが、最も美味しい焼き時間と言えます。この結果、トータル30秒から90秒、片面15秒から45秒が最も美味しい焼き時間であることが分かりました。我々の平均時間、2分では、旨味成分が出てしまって美味しくなくなってしまっていたのです。スタジオでも所さんに伝授!片面15秒、トータル30秒で焼いてもらいました。すると所さんも魚住アナも大絶賛!普段よりもたしかに美味しくなっていたのです。

所のポイント焼き肉は片面15秒、両面で30秒で焼くべし!これ鉄則!!




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