2回目でもおいしい!目がテン!?ライブラリー


強い?弱い? ヘビ の謎  #563 2001/01/07

 21世紀に突入した「所さんの目がテン!」。2001年1発めのネタは、ここのところ毎年恒例の干支シリーズ、となると今年は、ヘビ

 みんなの嫌われ者、ヘビ。どれほど嫌いかというと、街頭を行く人にヘビを見せると、皆一目散に逃げ出してしまいます。さらに動物園で育ち、生まれてこのかたヘビを見たことがない、サルやヒツジにヘビを見せても、やっぱり逃げ出してしまいます。どうやら本能的にヘビは嫌われているようです。

 ではヘビはなぜ手足を無くしたのでしょう?手足のあるトカゲが先祖のヘビ。そこには、生き残りをかけたヘビの厳しい選択があったのです。

 ハ虫類が全盛だった中生代白亜紀。けれど一部の弱いトカゲたちはなかなかエサにありつくことができませんでした。そこで彼らは地上をあきらめ、土の中のモグラやネズミをエサにしようと考えたのです。しかし地中に潜るのには手足が邪魔でした。そのため手足を退化させて胴体を細長くしたのです。
 そんな地中で生きることを選択したヘビは、目の悪い生き物だったのです。さらには、トカゲには有る耳が有りません。では、ヘビはどうやってエサに飛び付くのでしょうか?そのヒントは、なんとあのペロペロ出てくる舌に有ったのです。ヘビは舌をヒラヒラさせて周りの匂いを吸着させ、それを口の中のヤコブソン器官という嗅覚器官に運ぶ、独特の仕組みをもっているのです。

アヒルにハブが噛みついた瞬間  そしてハブやマムシなどの毒ヘビには、さらにスゴイ感覚器官があったのです。目隠しをした毒ヘビの前に、温かい人形と冷たい人形を置くと、毒ヘビは迷わず温かい人形に噛みつきました。実は夜行性のハブやマムシには、ピット器官という赤外線センサーがあって、温度から獲物や外敵を認識することができるのです。

 毒の有るヘビと無いヘビには、一体どのような違いがあるのでしょうか?体つきをみると、どうも毒ヘビの方が太くて短いようです。そこで突然ですが、体力測定!2種類のヘビを鉄棒に巻き付け、どっちが長いこともつか持久力競争です。すると、なんと毒無しヘビの全勝!意外な結果に終わりました。いったいなぜ無毒ヘビの方が持久力があるのでしょうか?それは両者のエサの獲り方に関係が有ったのです。例えばアオダイショウが獲物を捕まえる時、その長い体で獲物を絞め殺しています。一方、毒ヘビは絞めて殺す長期戦ではなく、瞬間的に噛みつき毒を注入して相手を殺す、一発必中の短期決戦です。つまり、無毒のヘビは獲物を絞め殺すために、細く長い体と持久力のある筋肉を必要とするのに対し、毒ヘビは瞬間的に力発揮するための、長さを必要としない代わりに瞬発力のある筋肉を選んだのです。ヘビの毒は、必要以上の筋力を使わないために、ヘビが進化していく過程で得た武器だったのです。

所のポイント無毒のヘビは持久力勝負のマラソン選手、毒ヘビは瞬発力自慢のスプリンターだった!


 ヒトからも動物からも怖れられ、一見無敵のようなヘビですが、天敵がいないわけではありません。ヘビを好物とする生物には、タカやワシなどの猛禽類、さらにワニなどがいます。ヘビはこうした天敵達から、一体どうやって身をまもっているのでしょうか?ヘビは動いているとき以外は、いつもとぐろを巻いています。実はとぐろこそが、ヘビが生きていく上で大きな役割を果たしていたのです。とぐろを巻いた状態だと、ヘビは360度に注意を払うことができ、迫り来る敵に対して瞬時に攻撃できるのです。それに対し、長く伸びた状態の時は後ろまで注意が回らず、なんともスキだらけです。「とぐろ」は全方位からの攻撃に備える、究極の防御姿勢だったのです。

所のポイント「とぐろ」は、ヘビの全方位対応の防御基地だった!


 ヘビはいったいどうして、蛇行しながら前に進めるのでしょう? 同じ動きをするウナギは、陸上では前に進むことは出来ません。いったいこの差は何なのでしょうか?ヘビのお腹には「腹板」というウロコが変形したものがあり、この腹板が地面をとらえることで、進む力が生まれるのです。では、どうして体をくねらせるだけで前に進むのでしょうか?ヘビの断面はちょうどカマボコのような形をしています。それが動き出すと、横方向には逃げられない力が体に沿って前へ向かう力となり、進むことができるのです。このヘビの蛇行は、実はアイススケートと大きな共通点が有ったのです。スケートを履いて足を閉じたり開いたりすると前へ進みますが、このとき働く力は、まさにヘビの蛇行と同じ原理なのです。このときのスケートの動きを片足だけ見てみると、あら不思議、蛇行しているように見えるではありませんか。

ヘビロボット  さらに、こんなヘビの動きを徹底的に研究して作られた最新のロボットが、日本にありました。体長2m、体重15kg、総制作費300万円でその名もズバリ、ヘビロボット!車輪には動力は一切使われず、関節が動くだけでヘビと同じ蛇行を生み出しているのです。スタジオにはこのヘビロボットが登場、所さんも目を丸くしました。このヘビロボット、将来的には人の立ち入れない、災害時などの倒壊家屋からの救助や、地雷の除去などでの活躍を期待されています。


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