2回目でもおいしい!目がテン!?ライブラリー


左右で違う!? の働き  #572 2001/03/11

 春といえば、花粉症で悩まされる人が多くなる時期。この季節は、鼻に関しての関心も高まる時期です。しかし鼻にはどんな役割があるのでしょう?呼吸をする、匂いをかぐ…そんなところでしょうか?どっこいどっこい、鼻にはまだまだ隠された能力があるのです!

 なぜ、ラーメンを食べると鼻水が出るのでしょう?実はそれは、鼻呼吸と口呼吸があることに関係があるというのです。そこでこんな実験。大学生8人に、マイナス 20度と、プラス40度の環境で、鼻呼吸と口呼吸でそれぞれ 40分、じっとしていてもらいます。そして感想を聴くと、全員、鼻呼吸の方が快適だったという答え。いったいこれはどういうことなのでしょう?鼻には、外の空気を肺が呼吸するのに適した温度や湿度に調節する機能が付いているのです。鼻の中には、鼻甲介(びこうかい)という毛細血管が集まったふくらみがあり、外の冷たい空気が入ってきたとき、鼻甲介の血管が膨張し、そこを通る空気を瞬間的に暖めます。その実力は、およそ0.1秒の間に10℃以上も上げてしまうというものです。そして乾燥した空気が入ってきた場合、ただちに粘液が分泌されて空気を湿らせます。この粘液が、つまり鼻水。これもやはり、約0.1秒の間に湿度を50%近くも上げてしまうという、すぐれたものでした。さらに鼻は、体温を逃がさないように、吐く息も鼻で冷ましてから吐いていたのです。だから鼻で吐く息と口で吐く息では、口で吐く息のほうが温かいのです。

鼻の断面  ところでなぜ、ラーメンを食べると鼻水が出るのかというと、ラーメンの湯気など熱い空気が急に入ってくると、鼻水が分泌され、その鼻水と一緒に熱を逃すことで空気の温度を下げているのです。こうした鼻の瞬間温度湿度調節器の力により、ヒトは冷たい極地から暑い砂漠まで、様々な環境に住むことが出来るのです。

 鼻は、瞬間温度湿度調節器であるだけでなく、さらに瞬間空気清浄器でもあったのです。鼻の中には、せん毛と呼ばれる細かい毛があり、それが動いて空気中のゴミを取り除いていたのです。そして、この時せん毛に協力してゴミを取りやすくしているのが鼻水。何と鼻水は、1日に1リットルも分泌されています。そしてその75%は体内に入っていたのでした。

所のポイントヒトが1日に出す鼻水は1リットル!でもそれは空気をキレイに快適にする大切なものだった!


 鼻のさらなる謎、「なぜ鼻の穴は2つあるのか?」。その謎を解明するため、私達は強力な助っ人をはるばる沖縄からお呼びしました。琉球大学の星野助教授。何やら不可思議なマスクをつけています。鼻の穴のすぐ下に小さな風車が2つついていて、鼻息によって回転するというこのマスク、星野助教授が発明した物で、名前がなんと“(風車の)やしち”!この装置により、左右別々の呼吸量が測定することが出来ます。早速道行く方々にこの装置をつけてもらいました。すると驚くことに、皆、左右どちらかの鼻の穴だけが働いていたのです。

 鼻の穴にも右利き、左利きがあるのでしょうか?そこでAD君が1日24時間着用してみました。するとさらに驚くべき結果が出たのです!それぞれの鼻の呼吸量を測ると、一方の呼吸量が増えると、もう一方は減っていたのです。鼻の穴は、1時間から2時間おきに使う鼻の穴を交代しながら呼吸していたのでした。鼻は、体がさほど酸素を必要としない時には、片方の鼻甲介を充血させて空気の通り道をふさぐことにより、どちらか一方の穴を休ませ効率的に呼吸するように出来ていたのです。“鼻は省エネする”のです。

所のポイントなんと鼻の穴は交代で働いていた!


 鼻の隠された能力はまだまだこれだけに留まりませんでした。歌と鼻にも、深い関係があったのです。特に演歌と鼻には切っても切れないつながりがありました。鼻と口が奥で仕切っている軟口蓋(なんこうがい)という部分があります。これがフタのように上下することによって声の響きを変えるのですが、軟口蓋が下がると、ノドで作られた声は鼻腔に響き、鼻音となります。ではどんな音が鼻音か調べると、50音のうち「な」行、「ま」行、「ん」の発音の時、軟口蓋が下がっていました。

一木ひろしさんとAD湊君  番組ではスペシャルゲストをお呼びしました。五木ひろしさん!ではなく、そっくりさんの一木ひろしさん。何と失礼にもその鼻の中にカメラを潜入させ、十八番の「横浜たそがれ」を歌って頂きました。すると鼻音だけでなく、それ以外の部分でも微妙に軟口蓋を開いていることが分かりました。

 そこで演歌がてんでダメなAD君に、演歌のボイストレーニングに行ってもらい、特訓を受けてもらいました。するとそこで徹底的に仕込まれたのは、やはり鼻音を強調することでした。特訓の結果、鼻音を意識するようになったAD君、ちょっぴり歌がうまくなりました。

 ここで皆さんだけに、演歌上達のコツをこっそり教えちゃいましょう。

1.
ハミングで軟口蓋を開き、鼻音を使う練習をする。
2.
歌詞の合間に「ン」を入れて歌う。
(♪よこはンま〜、たそンがれ〜、という具合に)

3.
もしうまく出来ない時は、歌手のアクションを真似てタイミングを取ってみる。

 さあ、これであなたも演歌自慢です。



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