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 挑戦 さびでルビー作り  #618 (2002/02/10) 

 久々登場の科学の素浪人、矢野左衛門。なんと矢野左衛門の刀が、手入れ不足でさびてしまっていたのです。さび許すまじ!と、さびの正体を探り成敗しようとする矢野左衛門。しかし驚くなかれ、さびは意外と身近で、しかも役立つものでもあったのです!

茶色の鉄鉱石の山  さびは金属に酸素が結びついて出来る、酸化という現象です。しかしなぜわざわざ酸素と結びつくのでしょう?
 そこで矢野左衛門はさびの正体を探るため、製鉄所へ向かいました。鉄の原材料の鉄鉱石(ヘマタイト)を見ればさびの正体が分かるというのです。すると目の前に現れたのは、さびと同じ色の茶色の山これが鉄鉱石だというのです。
 実は鉄鉱石はもともと酸素が結びついた状態。なのでさびと同じ色だったのです。鉄は、鉄鉱石をコークスで燃やし、溶かして作ります。この時酸素が奪われる還元という現象が起きます。鉄は鉄鉱石からむりやり酸素を奪って出来るものだったのです。なので鉄は本来の姿に戻ろうと酸素と結びつき、酸化し、さびが出来るのです。

所さんのポイント
鉄は、安定した鉄鉱石の状態に戻りたいので、酸化しさびるのだ!

 鉄以外の金属はさびるのでしょうか?代表的な金・銀・銅・アルミニウムの4つに塩水をかけ、2週間おいてみました。すると金以外の3つにはさびが出来ました。この3つについたさびををそれぞれ原材料と比べてみると、同じ色をしています。これらの金属も鉄と同じように原材料から酸素を切り離して出来たもの。やはりもとの姿に戻ろうと酸素と結びつきさびてしまうというわけだったのです。ちなみにさびない金属は、金とプラチナだけなのです。

 台所などでお馴染みのステンレス。その名もずばり“ステン(さび)レス(無し)”。しかし実は、ステンレスは“さびている”というのです。実はステンレスは製造過程で酸素に触れると、目には見えない透明なさびである酸化皮膜が出来、金属をコーティングし、さびさせないのです
 さらに矢野左衛門も手にしていた使い捨てカイロ、これも驚いたことにさびでした。カイロの中には鉄や、水分、塩分などが入っていて、外袋に入っている時は真空なのでさびないのですが、外袋から出すと酸素に触れ急激にさび、この時熱を出すのです。金属は酸化する時、酸化熱を出しているのでした。
 その他、化粧品のファンデーションや、塗料などにも金属の酸化物=さびは使われたいたのでした。

所さんのポイント
ステンレスは透明なさびがさびを防いでいる!使い捨てカイロは鉄がさびた時に出る熱を利用している!!

ルビー刀  さびない刀が作れないかと悩む矢野左衛門、さびの専門家に助けを請いました。すると案内されたのは宝石店。ここにもさびが有るというのです。専門家が指差したのは、ルビーとサファイア。なんとルビーやサファイアもさびの一種なのです!これらは金属のさびがまとまって結晶化したもので、これ以上さびません。そこで矢野左衛門、ルビーでさびない刀を作ることにしました。
 ルビーの素となるアルミニウムのさびを集め、不純物を取り除き、純度の高い酸化アルミニウムを精製。これに色の素、酸化クロムを混ぜ、炉に入れて結晶化させルビーの出来上がり。あとは研磨機でうすく削り刀にして完成!残念ながら短刀でしたが、出来あがったルビー刀は、野菜だってちゃんと切れるもの。ところが落とすと割れてしまうという、結構もろいものだったのです。

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