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 直流vs交流 電気の歴史  #620 (2002/02/24) 

 私たちの生活に欠かすことの出来ない電気。しかし人類が電気を手に入れたのが250年前なのにもかかわらず、実際に使い始めたのはたった120年前なのです。そして時を同じくして、日本に最初の発電所が出来ましたが、なんとこの発電所、直流の電気の発電所だったのです。いったいなぜ、その後、直流は今日私たちが使っている交流に取って代わられたのでしょう

エジソン矢野  電気を実用的なものに変えた人物、それはご存知、発明家エジソン。彼が電球を発明したことで、電気は実用化の第一歩を踏み出したのです。
 エジソンは電球のフィラメントを、京都の竹で作ったのですが、そこまでは試行錯誤、色々なものをフィラメントにして実験したのです。そこでスパゲティ、するめ、竹ぐしでフィラメントを作ってみました。電気を通すと全て、ちゃんと光ったのです。なかでも竹ぐしは30秒ほど光っていました。やはりエジソンが京都の竹をフィラメントに選んだだけの事はあったのです。

 そもそも直流と交流の違いってなんでしょう?交流で点いている蛍光灯をハイスピードカメラで撮影し、超スローで再生してみました。するとチカチカ点滅しているのです。しかし蛍光灯に直流の電気を通してみると、スローで見ても全く点滅しません。直流では、電気は常に一方向に流れていますこれに対し交流は、電気の流れの向きが周期的に変わっているのです。交流で蛍光灯が点滅するのは、電気の流れの向きがこまめに変わっているからなのです。

 エジソンが勧めたのは直流の発電所でしたが、エジソンの部下の1人、ニコラ・テスラという人物が、交流発電所の効用を唱え、結局、交流発電所が世界に普及しました。なぜなのでしょう?
 調べてみると、日本の直流発電所が入ってきた当時、東京の都心部だけでも、なんと5か所の発電所が有ったのです。電気は高電圧の方が、電気のロスが無く遠くまで送れます。しかし直流の電気は、電圧の上げ下げ、変圧が出来ません。このため、家庭で使われるのと同じ電圧で送電しなくてはならず、ロスを防ぐため、家庭の近くに発電所を沢山作る必要が有ったのです。
 これに対し交流は、変圧が自由自在。なので遠くの発電所から高電圧で送電し、家庭の近くで電圧を下げることが出来ます。よって発電所の数も少なくてすむ、ここに交流発電所が採用された理由が有ったのです。

所さんのポイント
交流の最大のメリットは変圧が出来、長距離送電が出来ること!

オシロスコープ  結局、交流を導入することになった日本の発電所。しかしここで予期せぬ事態が。なんと東日本と西日本で違う国の発電機を導入したため、東西で周波数が違ってしまったのです。周波数とは1秒間に電気の流れの向きの変わる周期のこと
 東日本が50ヘルツ、西日本が60ヘルツ。この周波数の差は、例えば50ヘルツの電源で60ヘルツ対応のレコードプレーヤーを入れると、回転が遅くなってしまうという事態を生みました。かつて電化製品には、50ヘルツと60ヘルツの切り替えスイッチが有りました。しかし現在はインバーターという周波数を自在に変換するものが有るので、そんな切り替えスイッチも不要になったのです。

 直流の電気はもはやすたれてしまったのでしょうか?いいえそんなことはありません。直流の代表は電池。つまり電池(バッテリー)で動く物は、直流を主に使っているのです。携帯電話、パソコン、ラジカセ…。直流は生活の中ではしっかり生き残っていました。そしてこれらの製品を家庭用電源で使用する時に使う、ACアダプターこれは家庭用の交流の電気を直流に変えるものだったのです。

所さんのポイント
直流と交流は生活の中ではしっかり共存している!


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