科学で勝てムカデ競走　 #629 （2002/04/28）　 　矢野さんに悩める女子中学生から依頼が来ました。「学校のムカデ競走で、ずっと負けている先輩たちに勝ちたい！」。そこで早速矢野さんがお助けに乗り出しました。「ムカデ競走に勝つには、本家のムカデの歩行に学ぶべし！」。本当でしょうか？そこで今回は、なんとムカデを科学してしまいます。 　矢野さんは、埼玉の森の中にムカデを探しに行きました。ムカデは木の下や石の下などの狭い所に生息しています。矢野さんは見事、オオムカデの一種、アオズムカデを捕まえました。 　そしてこのアオズムカデを、女子中学生たちが飼うことにしました。しかしムカデは何を食べるのでしょう？実はムカデは肉食だったのです。試しにコオロギを与えると、なんと上半身を持ち上げ、コオロギに覆い被さりました！そして大きなアゴ（顎肢・がくし）からなんと毒を注入。しびれたところをバリバリと食べてしまうのです。 ムカデは毒でエサの虫をしびれさせて食べる肉食動物だった！ 　漢字で“百足”と書くムカデ、いったいその足は何本あるのでしょう？目がテン！恒例“数えてみよう”実験。今回はアオズムカデの足数えに挑戦です。その数え方はなかなかユニーク。ムカデを冷蔵庫に入れるだけ。すると仮死状態になって数えられるというわけです。 　早速挑戦する矢野さん。しかし、ムカデが起きてしまいました！撮影用の照明で温まり目覚めてしまったのです。 　結局クロロホルムで麻酔をかけ数えることにしました。結果は42本。他にもイッスンムカデと、ヒロズジムカデも数えてみましたが、それぞれ30本と、82本。100本なかったのです。 ムカデは百足と書くが、足が100本有るものは少ない！ 　ムカデの歩行、まじまじと見つめたことが有りますか？よく見てみると、その歩行は何だか波打っているのです。ムカデの足は、1本づつ動きがずれています。このずれのお陰で足もからまず、狭い所でも長い体で身動きが自由なのです。 　そして依頼を寄せた女子中学2年生5人も、このムカデ式歩行マスターに挑戦！なんとか真のムカデ式走行法を学びましたが、3年生とのリベンジ戦では再び惨敗…。ムカデの走行法は狭い所やデコボコした所をうまく歩くのに有効な走行法であり、速く走るのには必ずしも向いてないようです。