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 冬を暖かく過ごす科学  #659 (2002/12/01) 

 12月、いよいよ本格的な冬の到来です。そこで今回は寒さと、それを快適に乗り越える暖房を科学します。太ってる人が寒さに強いって本当?お酒は本当に寒さにいいのか?など、従来の常識をくつがえす結論が続出です。

 太っている人が寒さに強い、これって常識ですよね。しかしなぜ太っている人は寒さに強いのでしょう?動物界でも北に行けば行くほど、同じ動物でも体が大きくなります。これをベルクマンの法則と言います。例えば同じ形のもので体積が2倍になった時、表面積は1.4倍になります。体積の上昇に表面積の上昇が追いつかなくなるため、大きくなれば大きくなるほど、持っている熱も逃げにくくなるというわけです。

 そこで身長が同じで体重の違う2人が、上半身裸になって人工気象室で寒さ耐久実験です。結果はもう分かったようなもの…ところが、温度を下げていくと、なんと太っている人の方が、皮膚の表面温度が下がり、寒がり始めました。ヒトは皮膚の表面近くに、寒さを感じる冷覚があります。太っている人は体内で作った熱が、厚い皮下脂肪にはばまれ、皮膚表面までやってこないのです。ちなみに動物は毛皮があるため、寒がりにはならないそうです。
寒さ耐久実験

所さんのポイント
太った人は、寒さに強い構造だが、寒がりだった!

 お酒は体が温まる、これまた常識ですね。そこでこれまた学生さんにお願いして実験です。上半身裸でお酒を飲んで頂き、その様子をサーモカメラと、体の内部の温度が測れる新型のカプセル型カメラで観察です。
 すると、最初は順調に体表面も内部も温度が上昇したのですが、その後なんと、いずれも下降してしまったのです。これはアルコールによって血管が広がり、当初は血行がよくなり温かくなるのですが、その後広がった血管からより多くの熱が逃げてしまうからなのです。

所さんのポイント
お酒も、しばらくするとむしろ体を冷やすので要注意!

室外機にあたる大学生  冷暖房両方が1台でOKなエアコン。便利な機械ですね。しかしあまりお金の無い学生さんなどには、クーラーだけで手いっぱいという方も多いはず。そこで矢野さんが立ち上がりました。“お宅のクーラーをあっという間にエアコンにしてみせます!”それも全く部品材料要らずとか!
 いったいどうすると思いきや、ただ単にクーラーの室外機と室内機を入れ替えただけでした。クーラーは冷媒を循環させながら圧縮、膨張させることで冷房を行うのですが、エアコンは逆方向にも循環が出来るので、室内機と室外機を入れ替えなくても暖房も出来るというわけでした。
 ちなみにこの方法、外気温がクーラーの設定温度以下では作動しません。つまり冬では殆ど使えませんので、真似しないで下さいね。

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