知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


これで納得 DNA 入門
第726回 2004年4月4日


 先頃拘束されたイラクのフセイン元大統領。その時の映像で、元大統領が何か口の中に突っ込まれていたのを皆さん覚えてますか。あれは実はDNA鑑定のための作業で、その結果、本人であることがわかったのです。しかしいったいDNAとは何物?そしてなぜDNA鑑定で親子関係や本人であることが分かるのでしょう?科学の素浪人・矢野左衛門が解明します!

上段TGAC下段ACTGの塩基配列  DNAとは、1つ1つの細胞の中にある核の中にあるもの。細胞が分裂する時、23組46本の染色体が出てくるのですが、この染色体を形作っている細い細い糸がDNA。その糸は二重らせんになっていて、その横木となる部分には、アデニン(A)とチミン(T)、シトシン(C)とグアニン(G)という物質が組み合わさっています。この組み合わせを塩基結合と言うのですが、この結合が30億対もあるというのです。

タラの白子のDNA  この結合1対を1文字とすると、その量はなんと1冊300万文字の百科事典1000冊分!もの凄い量です。しかしその中で遺伝に意味のある情報はわずか3〜4万と言われています。この意味のある情報の部分が、遺伝子と呼ばれているのです。
 そして佐藤良子アナは、DNAをタラの白子10グラムから、目に見える形で取り出すことに挑戦しました。まずは白子を0.9%の生理食塩水10mlを加えながらよ〜くすりつぶします。核を壊すための作業です。これを二重にしたガーゼでこし、そして18%の食塩水を加え、10倍の量にします。そしてこれによく冷やしたエタノールを少しずつ加えていくと、なんと糸状のDNAが見えてきたではありませんか!細胞10億個分のDNAです。

所さんのポイント
ポイント1
タラの白子のDNAを肉眼で見ることが出来た!

 DNAは1つ1つの細胞に必ず入っているものですが、その長さは驚異的なものなのです。直径0.01ミリの核に、なんと2メートルのDNAが入っています。矢野左衛門が体育館を1つ借り切り、核が直径30センチだった場合、DNAがどれだけの距離になるかを測定してみたところ、その長さはなんと100キロ!ヒト全身の細胞60兆個のDNAを繋ぐと、なんと1200億キロメートルにもなっちゃうそうです。

 矢野さん一家がDNA鑑定に挑戦しました。やはり口の中に棒を突っ込んでいます。口の中の細胞は新鮮で、傷つけても再生が早いので、この細胞を採取するのです。そしてこのDNAの中に、塩基配列(例:AGAA)が繰り返し並んでいる箇所があるのですが、この繰り返しの回数が人によって異なります。しかし子供は両親のいずれかからこの繰り返しの回数を遺伝されるので、この塩基配列の繰り返しの箇所をチェックすれば、親子関係が分かるのです。今回は18箇所を調べ、2人のお子さんは本当に矢野さん夫妻の子であることが科学的に証明されまました。

 今度は一卵性の双子も登場します。そのDNAを調べてみてびっくり。2人は全く同じDNAを持っているのです。ならば2人はまるで同じ人間になるのでしょうか?ところが、指紋は一致せず、肺の中の血管や気管の形も違っていました。DNAが全てを決めるというわけではなかったのです。

所さんのポイント
ポイント2
DNAはヒトの全てを決めるというわけではない。
後は自然に任せられたり、また環境によっても左右される。





人間科学編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧