知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


科学で上達 お弁当 作り
第727回 2004年4月11日


 春は始まりの季節。新入生や新入社員も続々誕生。となるとお弁当を作らなくてはならなくなったお母さん、多いんじゃないでしょうか?しかしご飯やお肉が硬くなっちゃったりと、せっかく作ったのに結構不満も出ているはず。そこで今回は、科学の力で冷めてもおいしい弁当作りに挑戦します。

 日本人といえばやはりご飯。お弁当への不満の代表が、やはりご飯が硬くなってしまうことではないでしょうか。しかし日本人は古くから、冷めたご飯をおいしく食べる方法をいくつも知っていたのです。  まずはお寿司。酢飯には、冷めても水分や粘り気を保つ性質があります。しかし毎回、弁当を酢飯という訳にもいきませんよね。
かまどでご飯を炊く  そこでもうひとつの方法は、昔ならではのかまど炊き。所さんも試食しましたが、炊飯器で炊いたよりも美味しかったのです。お米のデンプンは98度で完全糊化します。こうなると冷めても水分を放しにくくなるのですが、炊飯器は下から釜を熱するものが多いので、なかなか98度に達しないのです。これに対し、かまどは釜の横まで火が回るので98度に達するのです。
しかし現在の炊飯器でも、この炊き方を再現する簡単な裏技がありました。それはご飯の上に目の細かい金網を置くこと。こうすると金網が上からご飯を熱するので、かまどと似た状態になり、炊飯器でも完全糊化が出来るのです。

所さんのポイント
ポイント1
かまど炊きのお米は冷めても美味しかった。
電気炊飯器でも金網でこの味が再現可能!


 お弁当を食べるときにお茶は欠かせませんね。普段自宅の食卓では、そんなにお茶を飲まないはず。これはお弁当の味付けが全般的にしょっぱいため。いったいなぜなのでしょう?
 それには思わぬ科学的な理由が隠されていました。甘味は、温度で変わる味だったのです。同じ濃度の砂糖水を2つ用意し、片方を38度、もう片方を6度にして町行く人に飲み比べていただくと、なんと21対10で、暖かいほうが甘いと感じる人が多かったのです。甘味は、舌の受容体で感じるには、酵素で分解されないと甘く感じられません。酵素は体温と同じ温度帯で一番よく働きます。なのでお弁当のおかずが冷めると、甘味が感じられなくなり、相対的にしょっぱさが際立つというわけなのです。

所さんのポイント
ポイント2
おかず作りでは、甘さを強めに、塩味を控えめに!
甘さは冷めると感じられなくなるから。


筋原繊維たんぱく質  ついついしょっぱくなってしまうお弁当なのですが、塩で味付けしなくてはならない食材もあったのです。それはお肉とお魚。この両者は塩で味付けすると、塩分に筋原繊維タンパク質が溶け出し、これが水分を閉じ込め、また肉や魚を焼かれた時に硬くさせないのです。日本の調味料の味噌やしょう油には塩分が含まれています。なので弁当作りに向いているのです。
 さらに冷めてこそおいしくなるというメニューも、お弁当の中にはありました。それは煮物。煮物に煮汁が染みるのは実は冷める時。煮汁の温度が下がると、まだ温かい具に煮汁が移動するのです。これをソレー効果と言います。お弁当には煮物がお勧めなのです。


この回で登場したおかず2品のレシピはこちら




食べ物編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧