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対決 アヤメショウブ
第729回 2004年4月25日


 5月5日は端午の節句。ショウブの葉を入れたショウブ湯に入るのが慣わしになっています。しかしそのショウブとアヤメの区別がつく方、実はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか?漢字で書いても、“菖蒲”と同じ字になるショウブとアヤメ、しかしこの2つの植物、実は全く違う植物だったのです。

ショウブとアヤメの花  みなさん、ショウブ園に咲いている花は、ショウブの花ではなかったのです。実はあれはハナショウブ。アヤメの仲間で、アヤメと同じアヤメ科の植物なのです。さらに花札に描かれているのはカキツバタ。これもアヤメ科。この3つの花はよく似ていますが、花びらに違いがありました。網目模様があればアヤメ、白い線1本入っていたらカキツバタ、黄色い線が入っていればハナショウブなのです。更に言うと、染物に使われるのがカキツバタ。五月人形と共に飾られ、また品種改良でさまざまな種類の花があるのが、ハナショウブなのです。
 本当のショウブの花は、小さな花がいくつも集まった地味な花でした。そしてなんとサトイモ科の植物だったのです。ハナショウブが俗にショウブと略されることから、何時しか混同されるようになってしまったのです。

所さんのポイント
ポイント1
ショウブはサトイモ科の植物で、アヤメ科のアヤメとは似ても似つかない植物だった!

 そしてアヤメにも意外な事実がありました。水辺に咲いているイメージがあったのですが、それは全くの間違い。水辺に生えているのはカキツバタ、水辺と水はけのいい土地両方に生えているのがハナショウブ、そしてアヤメは、なんと山間部の水はけの良いところに生えていたのです。

 ショウブ湯に、ハナショウブの葉を入れてらっしゃる方も結構いらっしゃるみたいです。両者は違う科の植物と思えないほど、とてもよく似ているのです。しかし本当にショウブの葉でなくてはならないのでしょうか?そこで本物のショウブ湯と、ハナショウブのショウブ湯に実験台の学生が3人、脚を10分間漬けてみました。結果、ショウブ湯の脚の表面温度のほうが高く、さらに脚の血流量も上昇し、入浴後しばらくたってもなかなか下がらなかったのです。
 これはショウブの葉に、アザロンとオイゲノールという精油成分が含まれているため。この成分が肌に入り込み毛細血管を刺激することで、血行を促すというのです。

お湯比較グラフ  ショウブは水の中に生える植物ですが、その土中で、根茎(こんけい)という物で増えています。実はこの根茎に先程の精油成分が一番含まれているというのです。精油成分には防虫の効果があるため、水中にある根茎に一番含まれているのです。そこでこの根茎を入れたショウブ湯で再実験すると、血流量でなんと葉のショウブ湯をはるかに上回る結果が出たのです!

所さんのポイント
ポイント2
端午の節句には、必ず本物のショウブの葉のショウブ湯に入ろう。根茎を使うと、さらに効果が出るぞ!

 ショウブの葉を使って「目がテン!」がまた変なもの作りに挑戦しました。それは畳。防虫効果があるということで作ってみました。葉が短いため、機械では作れず、わざわざ広島まで手織り機を求めて出向き、見事小型ながらも完成させました。材料費だけでン万円。しかも防虫効果は3ヶ月だそうです。



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