実は香辛料!
シナモン
第783回 2005年5月29日
今や、
ケーキやパン、お菓子類や飲み物などによく使われ、すっかりおなじみになったシナモン
、最近使われ始めたのかと思ったら、実は意外と歴史は古く、
世界でも最も古い香辛料
なのだそうです。甘い味がするのに、香辛料!?
シナモンの原料は
セイロンニッケイというクスノキ科の樹木
。セイロンニッケイの表皮をはがし、その内側のコルク層を薄く削り取り1週間乾燥させると、自然と丸くなり、お馴染みのスティック状になるのです。
シナモンといえばあの独特な甘い香り。しかし、街の人にシナモンを見せずににおいだけかいでもらうと、
若い人はシナモン、年配の方はニッキのにおいだと言います
。さらに、シナモンのにおいは
京都銘菓・八ツ橋のにおい
という人も結構いました。果たして、八ツ橋にはどちらが使われているのでしょう?
それらの謎を解くべく、矢野さんが八ツ橋作りを見に京都へ。すると、八ツ橋の皮はお米の粉から作られていました。それに水や砂糖などを加えてこね、そして最後に謎の液体を加えると、たちどころにシナモンのような香りが立ちのぼったのです。
実はこの液体はニッキ油。
八ツ橋にはニッキを使っていた
のです。
ニッキの原料は、シナニッケイと呼ばれる樹木
。シナニッケイもクスノキ科の樹木で、シナモンが作られるセイロンニッケイと近い親戚なのです。しかしシナモンは幹から作られますが、
ニッキはシナニッケイの根から作られます
。
さらにシナモンとニッキの香りの成分を比較してみると、成分はほぼ同じだったのですが、
オイゲノール
という成分がシナモンだけに含まれていました。実は、この
オイゲノールが多量に含まれているのは、シナモンが作られるセイロンニッケイだけ
なのです。このオイゲノールがある分、シナモンの方がニッキより幾分マイルドな香りになっているそうなのです。しかし
最近では、日本で売られているシナモンは、ニッキの原料であるシナニッケイの幹の皮から作られているものが多い
のだそうです。
昔はシナモンとニッキは多少違うものだったが、今は両方ともシナニッケイから作られる同じもの!
実は、お馴染みの
ゲッケイジュ
や
アボカド
もシナモンと同じクスノキ科の仲間だったのです。その
クスノキ科の樹木の特徴といえば、強い香りがする
こと。そこで目がテンが、
変わりだねシナモン作りに挑戦
しました。
作ったのは、学名にもシナモンが入っている
クスノキ
、料理によく使われているローレルなどでお馴染みの
ゲッケイジュ
、高級爪楊枝の材料になる
クロモジ
、そして森のバターこと
アボカド
の4種類。ところがスタジオで所さんが匂いをかいだところ、どれも割ったり揉んだりしないと
あまり香りがしない
というのです。出来上がった直後は香りがしていたのに、なぜでしょう?
実はそれぞれ香りの成分は違うのですが、どれも
揮発しやすいため乾燥させている間に香りが飛んでしまった
のです。しかし
シナモンの香り成分は揮発しにくいために香りが長持ちします
。それがシナモンスティックに利用されてきた理由の1つだったのです。
私たちが大好きなシナモン。しかし
動物や虫たちはどうなのでしょう?
そこで「目がテン!」恒例動物試食実験。ゾウやサル、シカ等にシナモンをまぶしたエサを与えてみました。すると結果は、かろうじて
ゾウはシナモン付きのリンゴを食べたものの、ウサギやライオンなど他の動物は大好物のエサを食べませんでした
。さらにアリに、普通のハチミツとシナモン入りのハチミツを与えてみると、なんと普通のハチミツの方にだけアリは集まって、
シナモン付のハチミツには全く寄って来なかった
のです。
その理由は、専門家によるとシナモンの香りに含まれる
シナムアルデヒドという成分の防虫効果
のせいと考えられるようです。
そこで防虫効果といえば衣類と考えた目がテンスタッフは、ウールの切れ端と衣類が好きなコイガの幼虫20匹を準備し、そこにシナモンスティック、
タンスの防虫剤に使われている樟脳(しょうのう)
をそれぞれ入れて3日間観察してみました。
すると切れ端と虫だけが入っている容器の切れ端はたくさん虫に食べられており、樟脳入りの容器の切れ端も少し食べられていました。ところが
シナモンスティック入りの容器の切れ端は、全く虫が食っていなかった
のです。そのくらいシナモンの防虫効果は強かったのです。
しかしシナモンの防虫効果は長もちしないので、普段は効果の長持ちする樟脳を使った方が良いようです。
植物にとってあのシナモンの香りは、防虫効果だった!
こまめに取り替えればタンスの防虫剤よりも強力かも!?