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愛知万博で人気 リニア
第790回 2005年7月17日


 今、開催中の愛・地球博で人気のパビリオンの一つが「超電導リニア館」。時速500キロ以上もスピードが出る、超電導リニアモーターカーの世界が体験できるそうなのです。
 すでに日本でリニアモーターカーの研究が始まってから40年。お隣りの中国・上海では、2002年に世界で初めてリニアモーターカーの営業運転もスタートしました。もしかしたら意外と現実になる日は近いのかもしれません。そこで今回は、リニアモーターカーを徹底調査しました。

 愛・地球博の2つの会場を結んでいるのが、通称「リニモ」というリニアモーターカー。しかし、いざ乗ってみると大して普通の電車と変わらない乗り心地なのですが、実は、このリニモにはすごい秘密がありました。なんと、総重量51.9トンもあるのに、たった一人の力で動かすことができるのです。
 実は、このリニモには車輪がなく、強力な磁石の吸引力で浮き上がっているからなのです。この強力な磁石とは、コイルに電気を流して作られる電磁石というもの。リニモは、わずか6ミリですが浮いていることでレールとの摩擦がなくなり、一人の力でも動かすことができるのです。浮くことでレールとの摩擦も無くなり、より効率的にスピードを上げることも出来るのです。

 そもそもリニアモーターとは何なのでしょう?リニアモーターのリニアとは、英語で「線の、直線の」という意味。よく見かける回転モーターを直線状にしたものがリニアモーターなのです。実はリニアモーターカーとは、磁力で浮く列車ではなく、前に進む力にリニアモーターを使っている列車のことなのです。例えば、東京の地下鉄・大江戸線は宙に浮いていないのですが、リニアモーターを使って進んでいるので、リニアモーターカーなのです。
リニアモーターの仕組み  またリニアモーターは身の回りの物にも使われています。例えば、電動ひげそりにもリニアモーターが使用されているものもあります。磁石のN極・S極を高速で変化させ、刃を左右に動かしているのです。また自動ドアにも、リニアモーターの原理を利用して、ドアの開閉をさせているものもあります。

所さんのポイント
ポイント1
リニアモーターとは直線状のモーターのこと。
これを使って進むのがリニアモーターカーなのだ!


超電導リニアモーターカー  地上で一番速い動物と言えば、チーターの時速110キロ。一番速い新幹線「のぞみ」は時速300キロ。そして超電導リニアモーターカーは、なんと時速500キロ!まさに地上最速の乗り物なのです。  その超電導リニアが走っているのは、山梨県にある18.4キロのテストコース。実は、超電導リニアには運転手がおらず、全て指令室から遠隔操作で制御しています
 そもそも超電導リニアの超電導とは何でしょう?実は超電導とは、ある特定の物質を超低温にすることで電気抵抗がゼロになる現象のこと。この超電導状態になったコイルに電気を流すと、非常に強力な電磁石ができるのです。
 超電導リニアには、その強力な超電導磁石が車体の両側にあり、走るコースの両側の壁にも強力な電磁石が設置されています。つまり、この壁の電磁石のN極とS極を自由に変えることで、超電導磁石を積んでいる車体を加速させたり、減速させたりしているのです。
 さらに超電導リニアは、スタートしてからしばらくはタイヤで走っているのですが、時速160キロ程度になると車体が浮上します。これも車体の横にある超電導磁石のおかげ。走るコースの壁には、先ほど紹介した前に進むための電磁石の他に、8の字型のコイルが並べられています。実はリニアモーターカーのスピードが上がると、車体の両側にある超電導磁石が外側の8の字コイルに電流を流し、結果、8の字コイルが強力な磁石となるのです。そして、その8の字コイルからは車両を上に持ち上げる磁力が働きます。つまり、リニアモーターカーの両側の超電導磁石には、前に進む力と浮上の力の2つの力が働くのです。
 その夢の超電導リニアに矢野さんが乗せてもらい、時速500キロを体験しました。しかし、一緒に搭乗していた佐藤アナは前日の仕事の疲れからか、ぐっすりと夢の中。時速500キロもの高速を出しても、それほど快適に運転されているということを身をもって紹介してくれました。

所さんのポイント
ポイント2
超電導リニアは、超電導磁石に前に進む力と上に浮く力が働くので、時速500キロものスピードが出るのだ!




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