知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


実は金属! カルシウム
第801回 2005年10月9日


 よく現代人はカルシウム不足ということを耳にしますよね。確かに、ヒトや動物だけでなく、昆虫や植物など全ての生命にとってカルシウムは欠かせない栄養素。しかし、実際カルシウムってどういう物質なのでしょう?そこで今回は、あまり見たことない不思議な栄養素カルシウムを調査しました。

 普段、サプリメントなどで見かけるカルシウム。しかし、それはカルシウムの化合物で、純粋なカルシウムではないのです。貝殻やサンゴや石灰岩は炭酸カルシウムというカルシウムと二酸化炭素の化合物、骨はリン酸カルシウムというカルシウムとリンの化合物なのです。
純粋なカルシウム  そこで、めったに目にすることができない純度99.99%のカルシウムをスタジオに準備すると、所さんもビックリ!なんと、外見は銀色に輝いています!実はカルシウムは金属だったのです。その証拠に、カルシウムに電気を流すと豆電球が点灯しました。
 しかし、どうして純粋なカルシウムはあまり見られないのでしょう?実は、カルシウムは空気中に放置しておくとすぐ酸化してしまいます。また水に入れるとすごい勢いで溶けてしまいます。つまり、純粋なカルシウムすぐ他のものと化合してしまうので、めったに見られないのです。

所さんのポイント
ポイント1
カルシウムは金属だった!
しかし、他のものとすぐに反応してしまうので、純粋な姿はめったに見られないのだ。


 日本人に1日必要だと言われているカルシウムは600mg。しかし実際には、どれくらいのカルシウムを摂取しているのでしょうか?
 そこで、牛乳やヨーグルトなども摂り、それなりの量を食べている矢野さんで調べてみると、1日のカルシウム摂取量は522mgで必要とされている量には届いていませんでした
 実は矢野さんだけでなく、日本人は世界的に見てもカルシウム不足の国民なのです。それに比べてアメリカ人の1日の平均カルシウム摂取量は966mg。一体、この差は何なのでしょう?
 確かに、アメリカ人の方が食べる量も多いのですが、実は同じ食材でもアメリカ産と日本産を比べてみると、アメリカ産の方がカルシウムの含有量が多かったのです。例えば、日本産のブロッコリー100gにはカルシウムが38g含まれていましたが、アメリカ産には48mgも含まれていました。他にも、レタスは約1.7倍、ホウレンソウは約2倍もアメリカ産の方が多くカルシウムを含んでいたのです。一体、これはどういうことなのでしょう?
 その秘密は石灰岩石灰岩とはカルシウムが固まってできた岩で、雨が降ると含まれているカルシウムが溶けて、土や川に流れ込みます。そのカルシウムを動物や植物が吸い上げるのです。しかし、欧米に比べて日本にはこの石灰岩が少ないので、野菜に含まれるカルシウムが少なくなるのです。
 ちなみに、東京とロサンゼルスの水道水を比べたところ、やはりロサンゼルスの水のほうが2倍もカルシウムを多く含んでいたのですが、日本でも、9月に取り上げた、石灰岩の多い山口県秋吉台周辺の水道水を調べたところ、なんとロサンゼルスの水よりもカルシウムを多く含んでいたのです!

所さんのポイント
ポイント2
欧米に比べて日本の土壌には石灰岩が少ないので、食材に含まれるカルシウムも少なくなってしまうのだ!

 では、カルシウムが不足するとどうなるのでしょうか?そこで目がテン恒例!体を張った大実験。なんと番組スタッフとニワトリで5日間の「カルシウム断ち実験」を敢行。スタッフは、ごはんとお肉を中心としたカルシウムの少ない食事と足りない栄養素を補うサプリメントで生活し、ニワトリにはカルシウムをカットした特別なエサだけを食べさせました。
 すると5日後、ニワトリのタマゴが割れやすくなっていたのです。確かに、タマゴの殻の主成分はカルシウム。ニワトリのレントゲンを撮ってみると、骨を溶かしてまでカルシウムを補充していたことがわかりました。
ニワトリのレントゲン2面  では、卵を産まないスタッフはどうだったのでしょう。すると、スタッフも細胞内のカルシウム濃度を上げるため、骨を溶かしていたことがわかりました。しかし、なぜ骨を溶かしてまで細胞内にカルシウムが必要なのでしょうか?
 それは、カルシウムが生命活動には欠かせない役割を果たしているから。実は、脳から出た指令が電気信号となって神経を伝わり、その命令を受け取って、筋肉を動かすなどの最終的な実行を司っているのがカルシウムなのです。だから、カルシウムが不足すると足がつったり、神経が興奮状態になってイライラするなどの症状がでると言われています。



自然・電波・エネルギー・鉱物編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧