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村主妹出演 フィギュア
第819回 2006年2月19日


 先月放送した「フィギュアスケートの科学・第1弾」に続く第2弾。今回も、日本代表の村主章枝選手の妹・千香さんに協力して頂き、特にジャンプの秘密に焦点を当ててフィギュアスケートの謎に迫りました。

 まずは、無謀にも矢野さんがジャンプに挑戦!しかし矢野さんは、ジャンプどころか、実は全く滑れません。そこで、まずは普通に滑る練習から始めましたが、あることに気付きました。それは、前に進むのもままならないのに、なんと後ろには簡単に進んでしまうというのです。
 先生に聞いてみると、どうやら矢野さんは後ろ向きに進む体重のかけ方をしているとのこと。そこで、フィギュア選手がどのように体重をかけて滑っているか調べるために、足の裏の圧力を測定できるハイテク装置を村主さんにつけて、滑って頂くことにしました。
足圧計をつけた村主さん  すると、なんと村主さんは、前に進むときはかかとに体重をかけて、後ろに進むときはつま先に体重をかけていたのです。しかし普通、陸上競技の選手が前に進むときには、つま先に体重をかけています。それは、つま先で地面を蹴らないといけないからです。しかし氷の上を滑るスケートでは、前に進むときにつま先に体重をかけてしまうと、刃の前の方にブレーキがかかってしまい、滑りにくくなってしまうのです。つまり矢野さんは、怖がって前に体重がかかっていたので、後ろ向きのほうが進みやすかったというわけでした。

所さんのポイント
ポイント1
氷の上を滑るスケートは、前に進むときはかかとに体重をかけ、後ろに滑るときはつま先に体重をかけた方が滑りやすいのだ!

 結局、ジャンプをマスターできなかった矢野さん。そこで、ジャンプの練習をしている子供たちを見に行ってみると、あることに気付きました。それは、後ろ向きにジャンプしている子が多いのです。それもそのはず、全部で6種類のフィギュアスケートのジャンプのうち、なんと5種類が後ろ向きにジャンプするものだったのです。
 その秘密は、つま先にありました。ヒトは高くジャンプするには、つま先を使わないと跳べません。よってフィギュアスケートのジャンプも、陸上と同様につま先を使わなくてはなりません。もし前向きに滑っている状態でジャンプすると、体重をかかとからつま先に移動させなければいけません。一方、つま先に体重をかけている後ろ向きの状態なら、そのままつま先で踏みきることができます。つまり、後ろ向きに滑る方が跳びやすいというわけだったのです。
 ちなみに、ジャンプの踏みきり方には2種類あります。一つは、滑ってくる足のつま先でそのまま跳ぶ“エッジジャンプ”という跳び方と、滑ってくる足の反対の足のつま先で氷を蹴る“トウジャンプ”という跳び方があるのです。
エッジジャンプ  実は、フィギュアスケートの6種類のジャンプは、「滑ってくる向き」「滑ってくる足」「踏みきり方」で名前が決まっています。例えば、安藤美姫選手が得意としている4回転ジャンプはサルコウジャンプなのですが、サルコウジャンプは、後ろ向きに左足で滑ってきて、そのまま左足のつま先で踏みきるエッジジャンプなのです。

 皆さんも、一度は聞いたことがある「3回転半ジャンプ」という言葉。でも、一体“半”って、どういう意味なのでしょう。  実は、その秘密は“着地”に隠されていました。着地の瞬間を観察してみると、なんと6種類のジャンプ全てが後ろ向きに着地していたのです。というのも、ジャンプの時は衝撃を吸収するために、必ずつま先から着地しなければいけません。しかし、前向きにつま先からおりてしまうと、靴の先についているトウピックというギザギザがひっかかってしまい転倒してしまうのです。一方、後ろ向きにつま先からおりても、そのままつま先に体重をかけて滑っていけるから、着地は必ず後ろ向きなのです。
 6種類のジャンプの中で、唯一前向きに踏み切るのが「アクセルジャンプ」。前向きに踏み切って後ろ向きに下りるので、必ず他のジャンプより半回転多くなります。実は、○回転“半”とつくのは、アクセルジャンプだけに使われる言葉だったのです。
 前回のオリンピックに出場した村主章枝選手の演技を見てみると、なんと後ろ向きに滑っている時間の方が前向きに滑っている時間よりも2倍近く長かったのです。その理由を千香さんに聞いてみると、つま先を使った方がスピードが出しやすいので後ろ向きが多くなるとのことでした。

所さんのポイント
ポイント2
ジャンプの踏みきりは後ろ向きが多く、着地は必ず後ろ向き。
目がテン的結論−フィギュアスケートは後ろ向きに滑る競技なのだ!





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