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ミツがある? 春 ワラビ
第825回 2006年4月2日


 春と言えば山菜の季節。その中でも、山菜そばや天ぷら、わらび餅とお馴染みの山菜といえばワラビですよね。今回は、身近なのに意外と知られていないワラビの正体に迫りました。

ワラビとゼンマイ  街で聞いてみると、実は皆さんがワラビだと思っていたのはゼンマイだったのです。ワラビとゼンマイを比較してみると、先の丸まっている部分がゼンマイは1つなのに対してワラビは3つありました。これが、ワラビとゼンマイの大きな違いだったのです。
 しかし、なぜワラビの先は、丸まっているのでしょう?そこで、丸まっている先を1つ1つ開いてみたところ、なんと巻いていたのは葉だったのです。しかも、よく見るとその葉の形はシダ植物の葉。実はワラビは、シダ植物だったのです。その証拠に、葉を開ききったワラビの姿は、まさにシダ植物そのものでした。
 でも、どうしてわざわざ丸まっているのでしょうか?そこで、ワラビの根元を掘ってみると、現れたのはなんと根茎と呼ばれる地下にある茎でした。つまり、地上の緑の部分は全てワラビの葉で、茎のように見える部分は葉柄という葉の一部なのです。
 実は、ワラビの根茎があったのは深さ10cmの土の中。ワラビの葉の先端には細胞を作る組織がたくさんあるため、土から出る時葉を丸めることで、その大事な組織を傷つけないように守っていたのです。

 さらに、ワラビを掘り出してみようとすると、ワラビの根茎は東西南北にどこまでも伸び、スタッフ総出で掘り出すこと4時間!ようやく掘り出したワラビの根茎の長さを、一番長いところで測ってみると、なんと5mもあったのです。
 ワラビは毎年、根茎が伸びた先に新しい葉をだします。そのため、ほとんどのシダ植物は胞子で増えるので水気のある日陰で育ちますが、根茎で繁殖出来るワラビは日なたでも生きられるのです。

所さんのポイント
ポイント1
ワラビはシダ植物だった。地上に出ている部分は葉で、地下には巨大な根茎を張り巡らしているのだ!

 いかにもおいしそうなワラビの新芽は、色んな動物が食べてしまいそうですよね?ところが、動物にワラビを与えてみても、全く食べようとしないのです
 実は、ワラビは動物の嫌いなポリフェノールの一種であるタンニンと、ビタミンB1を壊す酵素を含んでいて、敵から身を守っていたのです。
ワラビの蜜線  しかし、ワラビの生き残り戦略はそれだけではありませんでした。矢野さんがワラビを観察していると、なんとワラビにアリが群がっていたのです。これは一体どういうことなんでしょう?
 実は、ワラビは葉の分かれ目に蜜線を持ち、蜜でアリを集めていたのです。するとアリが、ガの幼虫などの敵から自分の身を守ってくれるという仕組みなのです。ちなみに、このワラビの蜜の映像は、今回目がテン!が日本で初めて撮影に成功したものでした

所さんのポイント
ポイント2
ワラビは動物に対しての有害な成分と、アリを呼び寄せる蜜で自分の身を守っていた!

 皆さんご存知の和菓子といえば、わらび餅。しかし、実は普段口にするわらび餅には、ワラビは使われてないというのです。どういうことなのでしょう?
 そこで、本物のワラビ粉を作っている工場にお邪魔したところ、材料に使われていたのは、なんとワラビの葉ではなくて根茎でした。ワラビ粉は、ワラビの根茎のデンプンから作られていたのです。しかし、ワラビの根茎からとれるデンプンの量はとても少ないため、なんと1kgで2万円もするんだとか。そのためスーパーなどで売られているワラビ餅は、ほとんどがサツマイモなどのデンプンを使って作られているのです。
 ならば!…ということで、和菓子職人さんにご協力頂き、今回目がテンが本物のわらび餅を制作!そのお味には、スタジオで試食した所さんも、思わずとろけちゃうほどでした。



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