知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


プロもア然 くり (秘)ご飯
第854回 2006年10月29日


 秋といえば、クリが美味しい季節。そんなクリの中でも、今スイーツ界では「和栗」が大ブームなのです。なぜ、そんなに和栗が人気になったのでしょうか?そこで今回の目がテンは、クリはクリでも「和栗」の美味しさの秘密に科学で迫りました!

 そもそも世界で食べられているクリは、大きく分けて3種類しかありません。1つは、マロングラッセやモンブランなどに使われている洋栗。主にイタリア産などが有名です。また、天津甘栗で有名なのが中国栗。そして、栗ごはんなど日本人に一番馴染み深いのが和栗なのです。
 このように3種類あるクリなのですが、なぜ栗ごはんには和栗しか使われないのでしょう?そこで、目がテン大実験!和栗と洋栗、両方の栗ごはんを作って街の人に食べ比べしてもらいました
 すると、15人中11人が和栗の方が美味しいと答えたのです。その理由は、「香りが良い」からなのだそう。一体、どういうことなのでしょう?
 そこで、和栗の香りを分析したところ、主に2つの成分が検出されました。1つは香ばしい香り成分のメチオナール。サツマイモなどの香りの成分でもあります。もう1つが甘い香りのフラノン。イチゴやパイナップルなどフルーツに含まれている香りです。この2つの香り成分の量を、和栗と洋栗で比較したところ、どちらも圧倒的に和栗の方が多いことがわかりました。
 実は、最近、洋菓子に和栗が多く使われているのも、この香りの良さが一番の理由なのだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
和栗の決め手は香り!栗ごはんに使われるのも、最近洋菓子で使われるのも、独特の香りが楽しめるからなのだ。

 しかし、人気の和栗にも大きな弱点がありました。それは渋皮がむきづらいこと。天津甘栗は素手でもむけますが、和栗は包丁を使わないとむけません。なぜ、和栗の渋皮はむきにくいのでしょう?
 そこで和栗の断面を見てみると、渋皮が食べる部分にぴったりくっついていました。実は和栗には、渋皮と食べる部分との間に糊(のり)の役目を果たす物質がついているのです。一方、中国栗は渋皮と食べる部分の間がスカスカ。中国栗は、和栗のような接着物質をほとんど持っていないため、手でむくことができるのです。
 しかし、「渋皮がむきにくい」という和栗の常識を覆すニュースが飛び込んできました!最近、和栗なのに簡単に渋皮がむける新品種が開発されたというのです。その名も「ぽろたん」
ぽろたん  さっそく研究所に「ぽろたん」を見に行ったところ、見た目は普通の和栗と変わりません。そこで、本当にむきやすいのか試してみました。
 それぞれ加熱したものを素手でむいてみると、普通の和栗は3分20秒、中国栗は10秒18かかったのに対し、ぽろたんはなんと3秒22で、あっと言う間にむけてしまったのです。
 実は、ぽろたんは、品種改良の研究中に誕生した、渋皮と食べる部分の間の接着物質が少ない和栗。しかし、こんな便利なぽろたんですが、市場に出回るのはまだまだ5年以上も先のことなのだそうです。

所さんのポイント
ポイント2
和栗は、渋皮と食べる部分の間に接着物質があり、非常にむきにくい。しかし最近、和栗でもむきやすい品種が開発されたのだ!

 日本人と和栗の付き合いはとても古く、すでに縄文時代には食べられていたと言われています。当時、和栗は大切な主食で、一説よると、すでにこの頃から和栗の栽培が行われていたそうなのです。
縄文時代の和栗料理  では、縄文時代では和栗をどのように食べていたのでしょうか?そこで、考古学者に縄文時代の和栗料理を再現してもらいました
 作り方はいたってシンプル。和栗とシイの実をすりつぶし、卵と山芋を混ぜ合わせます。調味料は一切使いません。あとは、よく熱した石の上で、小さく丸めて焼くだけ。出来上がったのは、クッキーのような料理でした。そして、スタジオの所さんにも試食してもらったところ、あまり美味しいものではなかったようです。



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