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驚き超巨大 シジミ 料理
第877回 2007年4月8日


 今の時期、特においしくなるのが「シジミ」。実はシジミの旬は、春なのです。シジミといえばうま味を出す味噌汁の具として重宝されていますが、なんとシジミにはそれ以上の驚くべきパワーが秘められていたのです。

 日本に生息しているシジミは3種類で、その内私達が食べているシジミの99%が「ヤマトシジミ」です。ヤマトシジミは川の河口付近や、海と繋がっている湖のような汽水域に生息しています。残りの2種類、「セタシジミ」と「マシジミ」は淡水に生息しているため、護岸工事などによる環境の悪化で絶滅が危ぶまれているのです。
 さて、なぜ春がシジミの旬とされるのでしょう?実は、シジミは初夏の産卵に備えて栄養を体に蓄えるので、ちょうど春が一番美味しくなるのだそうです。
 そこで、矢野さんはシジミ漁の最盛期を迎えている島根県の宍道湖へ向かい、ベテランのシジミ漁師さんの漁に同行させてもらいました。シジミ漁は、鋤簾(じょれん)と呼ばれる道具を湖底に沈め、片足で舵を取りながら船を走らせることで、ツメでシジミを掻き出して捕る漁法で行われます。矢野さんも挑戦してみましたが、40kgもある鋤簾を持ち上げることすらできませんでした。
いろんな年数のシジミ  そして名人が湖底から鋤簾を引き上げると、たくさんのシジミが捕れていました。捕れたシジミは私達が日頃目にするおおよそ3年もののシジミよりはるかに大きい7年ものだそうです。この、アサリよりも大きいシジミは捕れる量も少なく、主に高級料亭などで使われ、スーパーなどには入らないそうです。 
 そして、漁師さんたちは港に帰ると、捕れたシジミをなんとコンクリートの地面にぶつけ始めたのです。実は、シジミを地面にぶつけて出る音で、身が入っている貝と、身の入っていない空のシジミを判別していたのです。シジミが空っぽなのは、死んだ後、中身が腐敗し貝殻の隙間から流れ出たためと考えられています。シジミはおよそ2割が空で、アサリなど他の二枚貝に比べて倍以上の割合になるため、この作業が必要不可欠なのです。
 同じようにスタジオで所さんもシジミに身が入っているかいないかの判別に挑戦すると、見事大正解でした。

所さんのポイント
ポイント1
私達がシジミを安心して食べられるのは、漁師さんが地道な作業で空のシジミを取り除いてくれていたからだった!

 さて、シジミを調理する時にめんどうくさいのが「砂抜き」ですよね。そこで、砂がどういう状態でシジミの中に入っているのかを確かめるため、なんと病院のMRIを使ってシジミを生かしたまま中の様子を観察してみました。その結果、驚くことに砂はシジミの体内ではなく、殻と身の間に入っていたのです。
 実はシジミの砂は、足を使って砂に潜るときに貝殻の隙間から入り込んで、シジミの身の上に乗っているだけだったんです。つまり、塩水に浸けて塩抜きをする必要はないんです。
 そこで、目がテン!オススメのおいしいシジミ汁を作る方法をご紹介。まず、シジミを砂抜きせずにそのまま熱湯に入れます。殻が開くとうま味と一緒に砂も外に出て行きます。ここでシジミだけを取り出し、鍋の底に溜まった砂が入らないように、汁を他の鍋に移して味噌を合わせた後にシジミを戻せば、砂抜き不要のシジミ汁が簡単に完成!

所さんのポイント
ポイント2
シジミの砂は体内ではなく、身と殻の間に入っているだけなので、塩水に浸ける砂抜きは必要がないのだ!

 ところで、アサリなどと違ってシジミはなぜ味噌汁くらいにしか使われないのでしょうか?その理由を専門家の方に聞いてみると、単に小さくて食べにくいだけだというのです。
 ならばと、ここで実験。同量のシジミとアサリを使って2つのスパゲティーを作り、さらに身を取り除き、街で一般の方に食べ比べてもらいました。すると、なんと20人中13人の方がシジミスパゲティーのほうが美味しいと回答したのです。
 専門家の方によると、シジミにはうま味成分であるコハク酸が多く含まれているからなのだそうです。実際にアサリとシジミの体液中に含まれるコハク酸の量を測定してみると、アサリよりもシジミの方が多い結果に。この理由は、シジミが環境の変わりやすい汽水域に生息しているからだそうです。台風などで海水濃度が濃くなるとシジミは呼吸できなくなるので、体内のグリコーゲンを分解しそれをエネルギーに変えることで生命を維持します。この時にシジミの体内でコハク酸が増加していくというのです。
 さらに、宍道湖周辺に伝わるという、シジミのうま味をさらに増やす調理法を聞いてみると、なんとシジミを置いておくだけで美味しくなるというのです。 
 ということで、水から出して無呼吸状態になったシジミを30℃に保った装置に入れて、6時間ごとにシジミの体液を抽出しコハク酸のピーク値を測定してみました。すると、コハク酸は24時間を過ぎても増え続けたのですが、48時間放置したシジミを矢野さんが食べてみると、酸っぱい味がしました。これは魚介類が痛んでくると出るプロピオン酸という物質のせいだそうです。
所さん感想「まあ、おいしい貝だこと」  今回の条件では、水から出して18時間後ぐらいからシジミにプロピオン酸が出始めたことから、水から出して放置してから18時間後にシジミは一番美味しくなることがわかりました。
 そこで、貴重な推定10年ものの特大シジミを18時間放置して、スパゲティーと、アサリの代わりにシジミを使ったチャウダースープを作り、所さんに試食してもらいました。そのお味は所さんも大絶賛でした。



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