知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


農園 ピンチ! 害虫退治
第889回 2007年7月1日


 今年の秋で目がテンが900回を迎えるのを記念して、お赤飯を種子から作ろうという一大企画が今年1月にスタートしました。幾度の困難を乗り越えてきた畑ですが台風の多い沖縄だけに被害が心配です。今回はその対策を科学で考えました。

 前回は、トラクターで耕した水田に水を張って、もち米の苗と、アズキとゴマの種をまきました。あれから1ヶ月半、佐藤アナが再び農園を訪れてみると、もち米の苗はみるみる大きくなっていました。そして赤い穂で「900」という文字を作るために植えられた赤米の苗も順調に成長し、なんとアズキは花を咲かせていました。さらにゴマも小さいながらちゃんと葉を出して元気に育っていました。
 早速佐藤アナもお手伝いです。まずは水田の栄養を吸い取ってしまう雑草を取り除きました。次は、水田の水を抜いて一週間ほど土を乾かす「中干し」という作業。これは土の中に酸素を送り、根をより強く成長させるために行います。さらに、水に弱いゴマの根腐れを防ぐためにゴマの畝を高くしました
 そして、順調に作業を進めていた佐藤アナは、何者かに食いちぎられたようなアズキの茎を6つも発見しました。そこで、スタッフが畑を荒らす侵入者を見つけるために、赤外線センサーを畑の4隅にセットし、テントを立てて徹夜で張り込むことに。そして夜中、赤外線センサーに反応がありましたが、畑には何もいませんでした。どうやら鳥や小動物が近づこうとしたらしく、音に驚いて逃げてしまったようです。その後は何もなく、無事に畑を守りきったと思った翌朝、明るくなった畑を見てみるとなんと守ったはずの畑に新たな被害が発生していたのです。
カブラヤガ(ガの幼虫)  ここで農業研究センターの方に畑を見てもらうと、この被害はネキリムシという虫の仕業だと言うのです。そこで土を掘り返してみると、大きさ3cm程の黒い虫が土の中から姿を現しました。実はこのネキリムシはカブラヤガと呼ばれるガの幼虫なのです。するどいアゴを持っていて昼は地中に潜み、夜に地上に出てきて若い作物の茎を切ってエサにするのです。このネキリムシにやられると一株丸ごとダメになるため、非常に恐れられている虫なのです。そこでネキリムシを退治するため、昼間は土の中を探し、夜間は懐中電灯を当て捕まえていきました。しかし確かに減ってはいるもののこれでは安心できません。
 そこで、沖縄中部の恩納村で沖縄ならではの害虫対策を行っているという農家の方を訪ねることにしました。早速畑を見せて頂くと、そこには収穫を迎えるマンゴーが見事に育っていました。農家の方が考えた、マンゴーを守る害虫対策の秘密兵器に使われていたのは、なんと沖縄の特産、島トウガラシでした。
 作り方は、「島唐辛子」「泡盛」などのアルコール度数が高いお酒を混ぜ、3ヶ月ほど寝かせただけ。これを霧吹きで植物に吹きかけているのです。さて、このエキスはどれくらい効果があるのでしょうか?そこで、アズキの葉が大好物なハスモンヨトウを放し、エキスがかかっている葉とかかっていない葉のどちらを食べるか実験してみました。すると5匹ともエキスのかかってないアズキの葉に向かい食べたのです。このエキスを目がテン農園の作物に吹きかけ、とりあえずは一安心です。

所さんのポイント
ポイント1
自然に優しい害虫対策。島トウガラシに含まれるカプサイシンには、虫を寄せ付けない効果があったのだ!

 さて、前回の田植えで植えたもち米の苗は大きくなり、葉っぱを増やしていました。この稲は根元から茎の数を増やす、分けつ(ぶんけつ)と呼ばれる特有の成長を見せていました。このまま順調に行けば秋にはおいしいもち米が期待できそうなのですが、沖縄は1年で平均7個もの台風が来る台風銀座のため、被害がとても心配です。そこで、沖縄ならではの台風対策で畑を守っているという大宜味村へ向かい対策を伝授してもらうことにしました。早速畑に案内してもらうと、対策として置かれているのは単なるネットでした。網戸のように穴が開いているネットは、防風対策になるのでしょうか?そこで、このネットの威力を確かめるため、研究所で風洞を使い強風を当てて実験してみました。まずはネットがない状態で傘をさして風の力を体験してみると、風速10mのところで傘は曲がってしまいました。次にネットを張って試したところ、風速10mの風を10分受けても全く曲がらなかったのです。ネットと板の煙の流れの違いやはりネットには防風効果があったようです。しかし、穴の開いていない板の方が風を防げるのでは?ということで、板を立てて実験したところ、傘の前側はほとんど揺れていませんが後ろ側が大きく揺れていたのです。そこで今度は人数を3人に増やしてみると、ネットを張った場合は3人とも傘に異常はありませんでしたが、板の場合は風速5mのところで一番後ろと2番目の人の傘が曲がってしまいました。これは何故でしょう?そこで風が目で見えるように煙を流して見てみると、板の場合は板の風下側にほとんど風はなく、強いまま上の風が下に降りてきていました。一方ネットの場合は風下側に弱い風が流れているため強い風が下に降りてこなかったのです。

所さんのポイント
ポイント2
小さな穴が開いているネットは、広範囲に渡り風を抑え込むことができるので、台風対策の秘密兵器なのだ!

 早速目がテン農園にもこのネットを取り入れることにしました。支柱を打ち付け、ネットで農園の全周120mを囲みました。そしてお玉で作ったお手製の風見鶏を付け、万全な台風対策の完成です。さあ残すところは収穫のみです!



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