知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


万里の長城 北京 (秘)調査
第894回 2007年8月5日


 夏休み海外特集!今回は来年のオリンピック開催地で、3000年の歴史を誇る中国の首都、知られざる「北京」の魅力を徹底科学します!

 北京は日本の青森とほぼ同じ緯度に位置し、およそ1500万人の人口をほこる巨大都市です。矢野さんは街を一歩入り、昔ながらの庶民の暮らしを見せてもらいました。矢野さんは両側を高い塀に囲まれた、北京で多く見られる胡同(フートン)と呼ばれる迷路のような細い路地に入りました。この胡同に面するのは、四つの家が中庭を取り囲むように配置されている、北京伝統の「四合院」という造りの家でした。入り口は南側にひとつだけ。北京は西の砂漠地帯から吹き上がる黄砂が大量に流れてくるため、昔から四つの家で周りを囲って黄砂を防いでいるそうです。
 部屋にお邪魔すると、住民の方が本場・中国らしく餃子を作っていました。豚肉とホイシャンという香草の具を小麦粉から自分で作った餃子の皮に包み、焼くのかと思いきや、なんと餃子は茹でられました。実は北京で餃子といえば水餃子のこと。焼くことはめったになく、茹でたてを黒酢で食べるのが北京流。手作りの皮は厚くてご飯代わりになるので、メニューはこれで十分なのだそうです。
 どうやら晩御飯から北京の意外な姿が見えそうです。そこで、「目がテン!突撃!隣の晩ごはんin北京」を決行することに。一軒目のお宅ではピーマンの炒め物や北京の定番料理、ジャージャー麺が食べられていました。二軒目のお宅では、おかずをパンのようなものに挟んで食べていました。これは小麦粉を焼いた餅(ピン)という主食でした。しかし、ここであることに気がつきました。これまでお邪魔した食卓にはご飯がありません。朝食を調べてみても、油餅(ヨウピン)と呼ばれる小麦粉を練って油で揚げたものが食べられていて、他にも小麦粉をインドのナンのように焼いた焼餅(シャオピン)や蒸し上げた饅頭(マントウ)などの小麦料理ばかりで、結局北京の食卓にご飯は見つかりませんでした。実はご飯が主食になっているのは降水量が多くコメの栽培が盛んな中国の南部でした。一方北京のある北部ではコメがとれないので、小麦が主食になっていたのです。

所さんのポイント
ポイント1
降水量が少ない北部はコムギが主に栽培されている。だから北京の食卓に米はなく、小麦を工夫した食べ物が多いのだ!

 さて、北京料理の代表といえば、北京ダックですよね。本場の名店を訪れた矢野さんは、皮だけでなく肉も一緒に食べるスタイルの北京ダックの味に感動しました。そして、その美味しさの秘密を探るべく特別に仕込みの様子を見せてもらいました。すると、料理人はアヒルの皮に張りを与えるためにホースを突っ込み、ポンプで空気をいれ膨らませました。さらに焼いた際、皮にツヤが出るよう水あめをたっぷりかけます。そして乾燥させた後、およそ250度の高温で40分間炙り完成です。でもそもそもなぜ北京ダックはアヒルなのでしょう?そこで、試しに同じ作り方で、ニワトリを使って北京ダックならぬ北京チキンを作り、お店の方に食べて評価をもらいました。すると「食感がよくない」「脂が少なくパサパサしている」との感想。2つを比べてみると確かにニワトリに比べアヒルは皮の下に脂肪がたっぷり
ニワトリとアヒルの脂肪の違い  でもなぜアヒルはこんなに脂肪がついているのでしょう?そもそもアヒルは寒い所に棲む、カモを家畜化した鳥。だから寒さから身を守る脂肪が豊富なのです。一方暖かいところに住むニワトリは皮下脂肪が少なく、これが美味しさの違いを生んでいたのです。つまり、北京ダックの美味しさの秘密は脂肪にあったのです。

 さて、北京が誇る世界遺産といえば、万里の長城。長城はもともと秦の時代、始皇帝が都・北京を守るために造った巨大軍事要塞です。その全長はおよそ6300Kmもある、2000年以上かけて造られた人類史上最大の建造物です。北京から車で1時間半。そこに万里の長城の中でも最も有名な八達嶺(はったつれい)があります。そこからさらに東に3時間、そこで発見したのは山の頂きに沿ってそびえ立つ司馬台長城。ここはロープウェイで登るしかないほど急な場所です。標高は1000m、傾斜角度はスキーのジャンプ台を上回る40度以上もありました。この万里の長城はどこまで続いているのでしょう?辿っていくと、突如長城が街の中に現れました。矢野さんはさらに長城沿いに歩いてみると、ついに海岸で海に突き出した、老龍頭と呼ばれる長城の最東端に辿り着きました。
万里の長城、最東端に立つ矢野さん  ところで、なぜ万里の長城は500年経った今でも丈夫に建ち続けているのでしょう?万里の長城は石の土台を敷き、その上に土を盛り、外側をレンガで2重に囲って造られています。そこで、長城に使われるレンガの強さを確かめるために、全く同じ大きさの長城のレンガと普通のレンガを用意し、中国気功武術の達人に割ってもらいました。まずは1枚に挑戦してもらうと、達人は普通のレンガと長城のレンガを簡単にまっ二つにしてしまいました。そこで今度はレンガを2枚に重ねて挑戦。すると、普通のレンガは何とか割れましたが、長城のレンガの2枚重ねはびくともしませんでした。一体どれだけ頑丈なのか計測してみると、長城のレンガは、普通のレンガの2倍の曲げ強度がありました。この強さの秘密を探るべく、17世紀の清の時代から長城のレンガを作り続けている窯を訪れてみました。すると、石炭で焚かれた窯の中の温度は1400度もありました。これは普通のレンガを作る時よりも600度も高い温度。長城のレンガはこの窯で通常のレンガの80倍の時間である240時間もかけて徹底的に焼かれます。こうして高温で長時間焼くと土の中の粒子がより多く溶けて、密度が高い頑丈なレンガが出来るのです。

所さんのポイント
ポイント2
万里の長城が500年経った今もなお、雄大な姿を残せるのは高温で長時間焼いて作られた頑丈なレンガのおかげだったのだ!




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