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シミ・老眼 … 防げ 老化
第899回 2007年9月16日


 日本人の平均寿命は、男性79歳、女性85.81歳で世界一位。まさに長寿大国ニッポン。しかし誰もが避けられないのは「老化」。最近ではアンチエイジングが話題になっていますが、今回は、上手に年をとるために老化の謎を徹底解明します。

良子おばあちゃんが辛そうに立ち上がる  まず佐藤アナは、重りや関節を曲がりにくくするサポーター、耳栓や特殊メガネなどでお年寄りの日常の動作を疑似体験できる「浦島太郎セット」で80歳のおばあさんに変身してみました。そして街を歩いてみると、普通の階段でも怖く、椅子から立ち上がるだけでも体力を使うことが判明。視界も悪く、後ろからくる車の音にも気がつかず街は危険がいっぱいでした。
 多くの人が最初に老いを意識するというのは、近くのものが見えづらくなる老眼だそうです。そこで老眼チェックマシン「ピンボケくん」を使い、世代別にどこまで近くのものが見えるのか実験してみました。装置の端にアゴをのせ新聞を手前に引き寄せ、ピントが合わなくなる近点距離でストップします。年代別の近点距離の違いまずは11歳の小学生の場合は9センチでした。続いて21歳の男性の場合は22センチ、30代は33センチ、40代で38センチ、50代になると43センチと、もう腕をいっぱいに伸ばさなければ読めません。さらに60代、70代と近点距離は確実に伸びていき、実験の結果、近点距離は年齢と共に伸びることがわかりました。つまり眼の老化は10代からすでに始まっていたのです。
 眼の老化の原因は、水晶体と呼ばれるレンズにありました。このレンズの厚みを変化させることでピントの調節を行っています。遠くを見る時はレンズは薄く、近くを見る時は厚くして、網膜にくっきりした画像を映しています。では、水晶体は年をとるとどうなってしまうのでしょうか?水晶体の厚さが超音波でわかる機械を使い調べてみると、20代の人が遠くを見ている時の水晶体の厚さは3.33ミリ。そして近くを見ている時の水晶体の厚さは、3.64ミリとその差は0.3ミリでした。つまり水晶体の厚さは10%ほど変化しています。一方60代の人は、遠くを見ている時と近くを見ている時で水晶体の厚さはわずか1%ほどしか変化していませんでした。実は、水晶体は年をとると弾力性を失い、硬くなってしまい、ピント調節ができなくなってしまうのです。つまり、ものを遠ざけないと網膜にくっきりした画像を映せなくなるのです。また、水晶体を作るたんぱく質が白く変成してしまい、白く濁る白内障という症状もあります。白内障も眼の老化現象で、80代になると100%の人が発症すると言われています。
 さて、お年寄りといえば、深く刻まれた「シワ」。そこでマイクロスコープで肌の状態をチェック。14歳の女の子の肌を見てみると綺麗な網目模様でキメが細かい肌でした。27歳の佐藤アナの肌を見てみると、シワの元になる横じまが出てきていました。そして59歳の女性の場合は、すっかりキメは失われていて、細かい線がたくさんありました。では、そもそもなぜシワになってしまうのでしょうか?実は、「真皮」と呼ばれる皮膚の土台部分は、主に弾力性に富んだコラーゲンで出来ているのですが、年をとるとコラーゲンが変成して固くなり、弾力性が失われ一度陥没した表皮が戻らなくなります。これがシワの主な原因なのです。

所さんのポイント
ポイント1
シワの主な原因は、年をとるとコラーゲンが変成して固くなり、弾力性が失われ、一度陥没した表皮が元に戻らなくなるからなのだ!

 ところで、なぜ、お年寄りは熱いお風呂に入れるのでしょう?矢野さんが銭湯へ行き、お年寄りが平気な顔で入っている湯船の温度を計ってみたところ、なんと47・1℃でした。そこで72歳のおじいちゃんと20歳の大学生の二人で、温度感覚を調べる実験をしてみました。温度を一定に保てる水槽2つを用意し、どちらの水槽が温かいかを触って当ててもらいます。先ずは45度と35度の10度も差があるお湯。二人とも簡単にわかりました。徐々に2つの水槽の温度差を小さくしていき、そして温度差1.5℃の時、おじいちゃんは識別できませんでした。ちなみに大学生は0.5℃まで正確に識別することができました。実は、年をとると温度に対する感覚がだんだん鈍くなっていきます。その理由は、年を取ると皮膚にある温度を感じるセンサーの感覚受容体が減少してしまうからだったのです。

所さんのポイント
ポイント2
お年寄りがより熱い風呂を好むのは、年を取ると、温度を感じるセンサーが減少し、温度感覚が鈍くなるからだった!

 お年寄りに耳元で会話を伝える光景をよく見かけますが、年を取ると耳が遠くなるのも、誰にでも起きる老化現象です。佐藤アナが70代の女性二人と耳鼻科を訪れ、「語学聴力検査」 と呼ばれる、聞き取った言葉をそのまま答える検査を行いました。5段階に音量を小さくしながら答えます。佐藤アナは小さな音はいくつか間違える程度でしたが、年配の方は大きい音でもかなり間違いがありました。そこで今度は「純音聴力検査」で音の高さを変えて聞こえにくさを調べました。結果佐藤アナに比べると年配の方は高い音が聞こえにくいようでした。人の耳の中の構造をみると、鼓膜で捕らえられた音は耳小骨をへて蝸牛とよばれる器官に送られます。この蝸牛の中には音を感じるセンサーである「有毛細胞」があります。この有毛細胞が年齢と共に減少するのが耳の遠くなる原因で、しかも高い音に反応する有毛細胞から減少していくため高い音が聴き取りにくくなってしまうのです。中でも「か行」と「さ行」は特に高い周波数の音を含んでいるため、お年寄りには聴き取りにくく、「さかな」という言葉が「かたな」や「はかま」に聞こえてしまうのです。
 そして、老化を防ぐ究極の対処法はズバリ「呼吸をしない!」ことです。人間は、呼吸をすると、細胞内のミトコンドリアという物質によって酸素がエネルギーに変えられ、二酸化炭素を排出します。しかしその過程で、体内に副産物として「活性酸素」という悪い物質が生まれてしまいます。活性酸素は周囲の細胞を傷つける性質があり、その損傷が蓄積すると、体中の生理機能が衰えてきます。これが主な老化のメカニズムとして有力な説なのです。呼吸をする以上老化は防げませんが、この活性酸素への抗対策としては、ビタミンC・Eなどを採ったり、食事や日々の適度な運動で、発生した活性酸素の働きを抑制することができるといわれています。



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