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凶暴 クマ に死んだフリ
第905回 2007年10月28日


 秋も深まりハイキングにぴったりの季節。しかしその山で遭遇すると怖い動物、「クマ」。そこで今回はクマの知られざる生態からクマに出会った時に役立つ方法を徹底科学します。

 日本に生息するクマは北海道にのみ生息しているヒグマ、胸の白い三日月模様が特徴のツキノワグマの2種類がいます。この季節、空腹でエサを求めて人里に降りてくる可能性もあり、昨年人がクマに襲われた被害件数はツキノワグマだけでも142件もありました。そんな危険な猛獣ツキノワグマがなんと東京にも生息しているというのです!早速矢野さんがクマの研究グループの方と、クマが出没するという東京都西多摩郡奥多摩町へ向かいました。藪をかき分け登っていくと、栗の木に登って実を食べた跡を発見しました。これは、クマが木の実を食べる時細い枝を折って手前に集めるためできたクマ棚と言います。さらに森を分け入ると、フンを発見。これはちょっと前までクマがいたという証拠。さらにクマのエサ場を捜索すると大好物のドングリが豊富なエリアを発見しました。このクマのエサ場で暗くなるまで待ち伏せしましたが、結局遭遇はできませんでした。しかし、同じ山でしっかりクマの姿を捕らえた無人カメラの映像がありました。確かに東京にもクマが生息していたのです。
 さて、山で突然クマと出会ったら「死んだふり」が良いとよく言われますが、この対処法は本当に有効なのでしょうか?そこでクマの前に、人間のニオイが付いたTシャツを着せたマネキンを寝かせてみます。死んだフリのマネキンの腕を噛むクマすると、クマはマネキンに近づき、ニオイをかいだ瞬間、びくっと後ずさりしたものの、その後周りをウロウロし足を舐めだしました。さらに手をだしズボンや顔を噛んだのです。ひとしきりいじってマネキンはバラバラになってしまいました。たとえクマに攻撃する気持ちがなくてもその鋭いツメのせいで人は大けがをする危険があります。ということで「死んだフリ」は安全とは言えませんでした
 次の対処法は、「逃げる」。マネキンを台車に乗せ逃げるようにヒモを引いて動かしてみました。すると、マネキンを動かした途端に立ち上がって威嚇し、台車を手でキャッチし台車のバーを噛んでマネキンごと倒してしまいました。その後ラジコンでも試しましたがすぐに追いかけてきました。これは逃げるものを追うというクマが持つ狩猟本能なのです。よって「逃げる」のもクマには効果的ではありませんでした
 最後に「大声で叫んでみる!」という実験を行いました。マネキンに拡声器を付け声で脅かしてみました。すると、ビクっと後ずさりをし、その後全くマネキンに近づかなかったのです。さらに、先程失敗した動くマネキンにラジカセをセットして音楽を流してみると、クマは猛ダッシュで逃げたのです。クマは聴覚も優れているので音に敏感に反応したのです。音は登山者がクマ避けに鈴やラジオを山へ持っていくように、経験的にも効果があると認められています。さらには、傘を開いたりレジャーシートを広げたらクマが逃げたと報告もあります。急に自分より大きくなったモノに驚いて逃げていくこともあるのです。

所さんのポイント
ポイント1
クマに出会ったら「死んだフリ」でも「逃げる」のでもなく、音に敏感なクマには大声で叫んで音で脅かすのが効果的なのだ!

 ツキノワグマは雑食性で人間の食べ残しもエサになりますが、本当にクマは何でも食べるのか実験してみました。用意したのは、サツマイモ・アリ・イノシシ肉・サケの切り身・ハチミツ。まずは手前にあったサツマイモを少し食べて吐き出してしまいました。イノシシの肉は臭いようで食べません。すると、ハチミツの方へ向かい、ニオイをかいで無我夢中で舐めました。カモシカ、ツキノワグマ、ライオン 歯の比較やはりクマはハチミツが大好物のようです。その後は先程食べ残したサツマイモを食べ、再びイノシシの肉へ行きましたがただくわえただけでした。サケも爪でひっくり返してニオイを嗅ぎましたが食べません。結局食べたのはハチミツとサツマイモだけでした。ツキノワグマは雑食ですが実は草食中心の食生活で肉・魚はほとんど食べません。歯の形も肉食のライオンよりも草食のカモシカに似た形をしています。木の実などをすり潰せるように奥歯が平らになっているのです。

所さんのポイント
ポイント2
ツキノワグマは雑食性であるのに、肉・魚はほとんど食べなく歯形も草食動物に近くて、意外にもベジタリアンだったのだ!

 ツキノワグマはハチミツが大好物のようですが、甘いものなら他にも何でも食べるのか実験してみました。ハチミツの他に溶かしたチョコレートと生クリームたっぷりのケーキを用意しましたが、やはりまっしぐらにハチミツの元へ行き壺に顔を入れて夢中で舐めました。やはり、ハチミツしか食べないのかと思いきや、その後ケーキへ向かい生クリームをペロペロと舐めだしました。イチゴだけ残しケーキを完食したのです。さらにはチョコレートへも行きましたが、なぜかチョコはにおいを嗅いだだけで食べようとはしませんでした。ツキノワグマはニオイに敏感で、恐らくチョコレートの中に含まれるカカオという成分が苦手だったと考えられます。試しにこのカカオを大好物のハチミツにかけて与えてみると、あれほど大好物だったハチミツも匂いを嗅いだだけで食べようとはしませんでした
 さて、匂いに敏感なクマですが、どのくらい敏感なのでしょうか?そこでこんな実験です。ハチミツを1滴垂らしたシャーレを、3つのアルミ容器のうちの1つだけに入れます。それぞれフタに1ミリの穴を開け、わずかにニオイが出るようにして容器に蓋をします。ニオイの強度を比べてみると、空の容器は827、ハチミツ入りの容器は872、その差は45です。人間が匂いの違いを感知できるのは数値の差が200以上なので人間はこの匂いの差は決してわかりません。まずは空の缶に興味を示したようですがその後すぐにハチミツ入りの容器を選び、牙をむきだし噛み付きました。見事クマは、人間には感知できないようなわずかなハチミツまでかぎ当てることができたのです。



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