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簡単!!本格手打ち そば
第909回 2007年11月25日


 今は新そばの季節。そして世間ではソバ打ちが大ブーム。そこで今回は今が旬、そして奥が深い「ソバ」の魅力に科学で迫ります。

 矢野さんは、ソバの収穫最盛期を迎えている、埼玉県秩父のソバ畑を訪れました。畑には白いソバの花が咲き、この花が枯れると実が育つのです。そして矢野さんはソバの実の収穫をお手伝いしました。ソバはタデ科ソバ属の植物で、ソバの実はとがったひし形をしています。実は、平安時代にモノの角のことを「稜(そば)」と言ったことから、角のあるこの実を「ソバ」と呼ぶようになったと言われています。収穫した直後のソバの実を粉にするのは、水分が多すぎるため1週間ほど乾燥させなくてはならないそうです。
 そして、しっかり乾燥させた蕎麦の実を、昔ながらの方法の石臼で実を挽いてソバ粉にしていきます。石臼をゆっくり回すと、石臼の隙間から、ソバ殻と「丸抜き」と呼ばれる実の部分に分かれて出てきました。さらにこの「丸抜き」を石臼で挽くと中央の柔らかい胚乳部分がはじめに粉となって出てきます。この最初の粉だけを使って作ったソバが真っ白で上品な「更科ソバ」と呼ばれます。一方、丸抜きを何度も石臼で挽いて全てを粉にしたモノで作ったのが「田舎ソバ」です。皮に近い部分が入っているので色は少し黒みがかっていますが風味がとても豊かです。残ってしまったソバ殻は、昔は枕の中に入れたりしていましたが最近は売れず捨ててしまうそうです。そこで、特別にソバ殻そばを作って所さんが試食しましたが、残念ながら食感がいまいちのようでした。
 続いて、最近ブームのソバ打ちに、佐藤アナが挑戦しました。挑戦するのは最も難しいソバ粉だけで作る十割ソバです。まずはプロのお手本。大きな木鉢にソバ粉を入れた後、中心に穴を作り、そこにもんじゃ焼きと同じような要領で水を入れます。その水に粉をかけるようにして全体に水をなじませていきます。指と指をぶつけるようにして素早く全体に水をいきわたらせるのがコツです。次にソバ粉がしっとりするまで手のひらで転がすように混ぜます。ソバ粉が大きな固まりになってきたら団子をまとめて生地を練るまでが一連の作業です。プロの技を見よう見まねで挑戦した佐藤アナですが、生地をひたすらかき回しても団子が大きくなりません。固まらないまま強引にソバ粉をまとめても割れてしまいました。これは水が回っていないのが原因だといいます。実は、ソバ粉にはアルブミングロブリンというタンパク質が含まれており、水が浸透すると強く引き合って弾力性が出ます。佐藤アナは腕の動きが遅く、水を素早く全体に行き渡らす事ができなかったので、パサパサになってしまったのでした。実は十割ソバはプロでも打つのが難しいため、江戸時代にはつなぎの小麦を二割使った二八ソバが開発されたようです。しかし、何としてでも成功させたい佐藤アナは秘密兵器を用意。その秘密兵器とは、なんと霧吹き。この霧吹きを使い、水を細かくし何回かに分けて全体に水をなじませていく作戦でソバ作りに再チャレンジしました。霧吹きを使いながら、素早く混ぜ合わせること5分、徐々に理想の形である団子状にまとまってきました。あとは生地を延ばし慎重に切って見事、十割ソバの完成!その努力のお味は格別で所さんも大絶賛でした。

所さんのポイント
ポイント1
ソバ打ちは粉全体に水を素早くをなじませるのがポイント!しかし、霧吹きを使えば誰でも簡単に十割ソバだって打てるのだ!

 さて、「ズズズ〜!」とソバを豪快にすするのが粋な江戸っ子の流儀とも言われますが、なぜソバはすすって食べるのでしょう?その理由を老舗の蕎麦屋さんに聞いてみると、ソバを勢い良く音を立てるように吸い込んで食べると香りを感じるそうです。つまり口から吸い込んだ空気が鼻からぬけることでソバの香りが楽しめるのです。日本人の鼻から伸びる吹きもどしそこで音を立てて食べる日本人と、音を立てて食べる習慣がないイタリア人の方2人に、鼻の穴に「吹きもどし」と呼ばれる巻き笛を差し込み、食べ方によって鼻から抜ける空気の量に差があるかを見てみます。同時にソバを食べると、鈴木さんの吹きもどしは鳴りましたが、イタリア人のマリアさんは変化なし。明らかに音を立ててすすった方が鼻から抜ける空気の量は多いようでした。やはり音を立てて食べることでよりソバの香りをより楽しめるようです。ソバをすすらないイタリア人でしたが、スパゲッティーなどは味自体もしっかりしているため、香りを嗅ぐ必要もないので、すすらなくて良いのです。

 ところで、ソバとうどん、腹持ちが良いのはどっちなのでしょうか?そこで「ソバ」と「うどん」を同じ量で食べ、どちらが長く胃にとどまっているのかを検証してみました。挑戦者は大食いの矢野さんと、水泳部の草野さん、そして女性ADです。12時間何も食べず空っぽの胃を、わんこソバでお腹いっぱいにしてもらいます。結果、ADは49杯、草野さんは90杯、矢野さんは123杯をたいらげました。すぐさま病院で、3人の胃の大きさを見てみると、空腹時の胃と比べ、ソバでパンパンでした。さらにその後時間をおいて胃を観察して腹持ちの状態を見ていきました。そして翌日、3人に昨日のわんこソバと同じ分量の特製わんこうどんを食べてもらいました。食後に同じように病院で胃の様子を見てみます。6時間後の矢野さんの胃の比較そして、3人の昨日ソバを食べてから6時間後の胃と、うどんを食べて6時間後の胃の大きさを、比較してみました。すると3人ともソバを食べた時の胃の方がうどんを食べた時よりも若干大きく、長く胃に残っていました。結果、胃の大きさだけで判断すると、若干ソバの方が腹持ちが良いようでした。そこでソバとうどんの食物繊維の量を見てみると、ソバの方が多く含まれていて、胃の中の食物繊維が水分を吸収するため、小腸へとなかなか移動していかないのです。だからお腹の中に残りやすかったのです。ということで、長くお腹をもたせたい場合はうどんよりソバの方が良いということがわかりました。

所さんのポイント
ポイント2
食物繊維の多いソバは胃から小腸へなかなか移動しないので、うどんよりも腹持ちがいいのだ!




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