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本能で大食い回転すし
第916回 2008年1月13日


 2008年は回転寿司が誕生してちょうど50周年になります。みんな大好きな回転寿司、その大人気の理由には数多くの秘密があったんです!

 回転寿司は1958年大阪生まれ。ビール工場でビール瓶がベルトコンベアの上を流れているのを見た寿司屋の店主が考案しました。この面白いアイデアと、庶民的な価格が受け、現在、回転寿司店は全国に5000店以上もあります。

 矢野さんは今すごい進化を遂げているという回転寿司店を訪れました。大盛況のお店には、客席の間を流れるコンベアにも最新の工夫がありました。店内を上から見渡すと、コンベアは従来のカウンター式の丸型でなく、アルファベットのEの形になっています。このE型コンベアは両サイドにテーブル席を配置することができ、より多くの人が座れるようになっているのです。そして、客席からはタッチパネルで好きな寿司を注文でき、音と画面で到着を知らせてくれました。さらに、一定時間を超えても食べられていない寿司は自動で廃棄され、おあいその時にはお皿を回収口に入れるだけで、自動で計算されます。実はお皿にはICチップが付いていて、ネタの種類や数、経過時間など全てがコンピューターで管理されていたのです。

 さて、回転寿司の魅力のひとつが、値段の安さですが、でも何で安くできるのでしょう?そこで、キッチンを覗いてみると、何とシャリを握っていたのは職人さんではなく、ロボットだったんです。機械の上部に酢飯を入れるだけで、正確に同じ量で握るという高性能ロボのおかげで大幅にコストダウンしていたのです。  そこで、熟練の技を持つ寿司職人さんと寿司ロボットが激突!まずは一分間にいくつ握れるかのスピード勝負。結果は職人12貫に対しロボットは50貫。なんと職人の4倍!しかし、味はどうなのでしょう?続いて同じ酢飯で握ったシャリを寿司好きな主婦8人にどちらが美味しいか判定してもらい味を競います。その結果は、4対4の引き分けでした。感想を聞いてみると、どうやら食感の好みで判定が分かれたようです。そこでさらに両方の寿司をコンベアで30分間回した後に食べ比べて判定してもらいます。その結果はなんと6対2でロボットの勝ちでした。実は職人の握った寿司は時間が経ち硬くなってしまっていたのです。では、なぜロボットが握った寿司は柔らかいままなのでしょう?そこでCTスキャンを通してシャリの内部を測定してみました。シャリの内部に空気が含まれている割合を示すCT値を比べてみると、職人が握ったシャリは224なのに対しロボットは251と、ロボットの方が空気を多く含んでいます。さらに30分経つと、職人のシャリは147まで減ったのに対し、ロボットは175。実は、ロボットは時間が経ってもふっくらした状態を保つために、より空気を多く含ませて握っていたのです。一方、職人さんは目の前のお客さんにすぐ食べてもらうように握っているので、時間が経つと硬くなってしまうのです。

ネズミのロープウェー  さて、安いだけではなくちゃんと美味しい回転寿司にはCASと呼ばれる最新の冷凍技術が使われているそうです。その研究所を訪ね、実際にマグロの切り身を2つに分け、普通の冷凍庫とCAS冷凍庫に入れてみました。2時間後、凍った2つのマグロを解凍してみると、普通冷凍のマグロから赤い液体が出てきました。実はこれ、ドリップという冷凍の際に食物の細胞が傷ついて出る旨味を含んだ液体。しかしCAS冷凍のほうはドリップがほとんど出ていません。細胞写真を見ても普通の冷凍は細胞が壊れていますが、CAS冷凍の方はきれいなままでした。一体なぜ細胞が壊れないのでしょうか?そこで、CAS冷凍で冷やしたペットボトルの水の温度を測ってみると、マイナス7.7度なのに凍っていません。この水をグラスに注いで見ると、なんと注いだ瞬間からシャーベット状に凍っていったのです。

 実は、CASとは特殊な装置から電磁気を発生し、水分子を振動させる仕組みで、この振動エネルギーによって水が氷点下に達しても凍らないのです。しかしCAS冷凍庫から出すと振動エネルギーがなくなるので、衝撃などのきっかけを与えると一気に凍ってしまいます。つまりCASとは瞬間的に凍らせる技術だったんです。普通の冷凍は外側から凍り始め氷の結晶がゆっくりと不規則に成長していくため、細胞を傷付け壊してしまいます。一方CAS冷凍は振動エネルギーによって限界まで凍らず、その後瞬間的に凍るため、氷の結晶が均一にでき、細胞が傷つかないのです。実際にスタジオで生のマグロとCAS冷凍のマグロを食べ比べた所さんは全く区別がつきませんでした。

所さんのポイント
ポイント1
冷凍が多い回転寿司のネタはCASという最新の冷凍技術によって、細胞を壊さずに瞬間冷凍されるので、生と変わらない美味しさなのだ!

 さて、普通の寿司店で食べられる寿司の量は平均11.9貫なのに対し、回転寿司は平均14.3貫と多く食べられています。本当に回転したほうが多く食べられるのでしょうか?そこで実験です。まずは5人の若者に寿司を回転させずに、7種類のネタを同じ順番でお腹が一杯になるまで食べてもらいました。その結果は合計65皿でした。後日、同じ5人に回転している同じネタの寿司を同じ順番で食べてもらいました。すると結果は合計で72皿と、7皿も増えたのです。一体なぜこんなことが起きたのでしょう?脳科学を研究している教授によると、回転する装置に近づく3匹のネズミ (大成功)ものを追ってしまう本能でより多く食べてしまうというのです。そこで大実験!犬も回転効果でたくさん食べてしまうのでしょうか?まずは柴犬のキンタロウくんに、大好きなドッグフードを80個一つずつ皿に並べて食べてもらうと、記録は15皿でした。今度は時間をおいて、ドッグフードを乗せた皿をコンベアで回転させます。すると、次々にやってくるエサを追いかけながら食べ、結果はなんと19皿!4皿も増えました。楽しく便利な回転寿司は、実は人間の本能を刺激する食べ物だったのです。

所さんのポイント
ポイント2
回転寿司は、回転するものを追ってしまう人間の本能が刺激され、誰もがよりたくさん食べてしまうのだ!



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