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暴れん坊!?逆立ち白鳥
第920回 2008年2月10日


 寒い季節の日本に舞い降りる、長い首に真っ白で美しい羽の「白鳥」(ハクチョウ)。今回は冬の渡り鳥・ハクチョウの知られざる生態に科学で迫ります。

 ハクチョウは秋から冬にかけて、繁殖地であるシベリアなど北方から日本にやってきて冬を越す渡り鳥で、日本にはオオハクチョウコハクチョウの2種類が渡ってきます。実は、お堀や公園などで一年中見ることができるハクチョウは、飼育されていて、羽根を切って飛べないようにしていることが多いのです。今しか見られないハクチョウを実際に見るために、矢野さんは毎年冬に5000羽が飛来するという、新潟県水原の瓢湖に向かいました。するとなんと、ハクチョウの鳴き声は湖から1km離れた場所まで響き渡っていました。近くで聞けば聞くほどうるさいハクチョウの声ですが、一体どれくらいうるさいのか計測してみました。湖岸から測った声の大きさは74.9デシベル。なんとこれは電車のガード下に匹敵する騒々しさです。では、なぜハクチョウは大きな声で鳴くのでしょうか?観察していると、つがいの2羽が互いに鳴き合っていました。実は、シベリアなどの広大な繁殖地では、何キロも離れてコミュニケーションをとる必要があるため大声を出すようになったと考えられているのです。ハクチョウは夫婦の絆がとても強いと聞き、そこで380羽のハクチョウが飼育されている池へ向かいました。ラジコンにボディアタックするオスここでは半分が夫婦だといいますが、どれくらいハクチョウ夫婦の絆が強いか検証してみました。まずは夫婦の間にラジコン模型の別のオスのハクチョウが割り込んでくるとどうなるか実験してみます。ラジコンがメスに近付こうとすると、オスが行く手を遮りました。そこで強引に近付こうとすると、羽根を広げ威嚇のポーズをとりました。そしてさらに近付くと、ついに怒り心頭に発したオスのハクチョウはなんと羽を広げてボディアタックをしてきました!見事メスを守りきったのです。

 次に、離れ離れになっても夫婦は一緒になることが出来るのか実験しました。ハクチョウの夫婦に目印になる紫の首輪をつけ、何の関係もない独身のオスとメスに比較のためピンクの首輪をします。まず船でメスだけを反対の対岸へ運び、150メートル引き離し、オスとメスをほぼ同時に離しました。スタートから10分後、紫のオスは夫婦であるメスを追うように向こう岸へ移動し、必死にメスを探しました。ついに発見すると、まるで再会を喜ぶかのように夫婦は声を合わせて鳴き交わしていました。少々引き離しただけではハクチョウの夫婦の絆は壊れないことがわかりました。ちなみに、比較のため話した独身のオスとメスは日が暮れても一緒になることはありませんでした。
 ハクチョウは、自然界では比較的珍しく夫婦の絆が一生続きます。4月半ばに日本を出ると5月には繁殖地のシベリアへ到着し、9月には育った若鳥と共に再び日本へ旅立ちます。しかしハクチョウは孵化してから飛べるようになるまで3ヶ月程かかるため、繁殖地に到着してわずか1ヶ月ほどの間に卵を生まないといけません。ですから短い期間で繁殖に成功するためには気心にしれたペアがいいのです。固い夫婦の絆は、限られた期間で確実に子孫を残すためのものでした。

所さんのポイント
ポイント1
ハクチョウの夫婦は、短い期間の繁殖期間で確実に子孫を残すために、一生続く強い絆で結ばれているのだ!

 ところで、ハクチョウは日本で一体何をしているのでしょうか?それを確かめるべく瓢湖のハクチョウに密着してみました。朝六時、ハクチョウたちは羽根にくちばしをうずめ寝ています。そして、陽が昇ると徐々に賑やかに鳴き出し始め、朝九時に食パンなどのエサを食べた後、次々に空へと飛び始めました。そして田んぼへ行き地面をほじくって落ち穂や草などを食べていました。ハクチョウは、氷に閉ざされるシベリアなどの繁殖地を離れ、食料を求めて日本を訪れていたのです。そして再びまた湖へ戻ったハクチョウを観察していると、なんと水面からおしりだけを出して潜り、逆立ちをするハクチョウを発見しました。どうやら水中深くのエサをあさっているようです。ならば、ハクチョウは一体水深どのくらいまでエサを食べることができるのか実験してみました。最初に同じく湖に住むカモから実験です。ヒモの先にオモリをつけた野菜を10センチごとに沈め、食べられるか見てみます。すると、エサを食べるハクチョウの水中映像20センチまではくちばしが届いてクリアしましたが、30センチにするとカモは寄り付きませんでした。次にハクチョウの番です。まずは水深50センチからスタート。すると、ハクチョウは首だけを水に沈め、水中の野菜を食べました。次に70センチも楽々クリア。そして、ついにプールの底ぎりぎりの水深110センチに挑戦!すると、ついにハクチョウが逆立ちをして食べたのです!もしプールの水深がもっと深かったら、さらに記録は伸びていたかもしれません。

 さて、ハクチョウの美しさを表現したバレエの『白鳥の湖』ですが、バレリーナたちの素晴らしいステップと本物のハクチョウのステップには共通点があったのです。ハクチョウは飛び立つときに、羽ばたきながら数十メートル助走をつけて水面を力強く蹴ります。しかし、なぜハクチョウは助走をつけるのでしょうか?そこでハクチョウとカモの翼の面積と体重の比率に合わせた模型を使い実験してみました。2つの模型に風を送り、離陸するときにどのくらいの風速が必要なのか見てみます。カモは風速5.23mを超えたとき離陸しましたが、ハクチョウが離陸したのは6.23mと、大きな風速にならないと飛び立ちませんでした。実は、ハクチョウは翼の大きさに比べ体重が重すぎるのです。つまりハクチョウのステップは離陸に必要な風速を得るためのものだったのです。

所さんのポイント
ポイント2
体の重いハクチョウは、離陸に必要な風速を得るためにバレエ『白鳥の湖』のようなステップで助走するのだ!




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