知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


子牛誕生!! 手作り 牧場
第934回 2008年5月18日


 来年の秋で放送丸20年、めでたく1000回を迎える目がテン!そこで、『目がテン牧場』を開き、お祝いのケーキを科学の力で一から作ってしまおうというという壮大なプロジェクトが始動しました!

 まずはケーキに欠かせないバターを作るため、矢野さんが北海道の中でも乳牛の多い十勝地区で酪農業を営む牧場主の方のもとを訪れました。牧場主の方はなんと7000m2という広大な土地を提供してくださいました。土地を見渡すと、草もたくさん生えていて、エサには困らなさそうと喜んでいたところ、今生えているのは雑草なのでちゃんとした牧草を与えないと牛は育たないと言うのです。雑草と牧草は一体何が違うのでしょうか?そこで、見た目はそっくりな雑草と牧草を空腹の牛に与えてみると、牧草はあっさり完食したものの、雑草の方は匂いだけをかぎ、ほとんど残したのです。実は、牧草は長い時間をかけて、牛が好む、必要な栄養素を多く含む種類が選ばれていたのです。

所さんのポイント
ポイント1
牛に与える牧草は、雑草とは違い、牛に必要な栄養をたっぷり含んだものだった!

 矢野さんはまず、借りた土地の半分を牧草地にすることしました。残りの半分の土地を農場にして、その他にケーキに必要な卵、小麦粉、砂糖を作ろうという計画です。牧草地作りは、最初にトラクターで土地を耕してもらい、その畑に畝(うね)を作り、牧草の種を蒔きます。遠心力を利用した優れ物の道具で蒔かれた種は、畝と畝の間の溝の部分に自然に滑り落ちていき、そして最後に種が飛ばされないよう土を返しました。3ヶ月後にはここが最高の牧草地になっているはずです!ところで、矢野さんはイネ科のチモシーとマメ科のシロツメクサ(白クローバー)という2種類の牧草の種を蒔きましたが、実はこれは肥料を減らす工夫なのです。マメ科の牧草は、根に根粒菌を持っていてこの根粒菌が空気中の窒素を土の中に取り入れてマメ科の牧草の成長を助けます。この時、一緒に植えられたイネ科の牧草も、この窒素を利用して成長できるという訳です。

 さて、続いては牧場に必要不可欠な牛ですが、なんと牧場主の方がこれから産まれてくる子牛を譲ってくれるというのです。牛も人間と同じで出産して赤ちゃんを産まないとお乳は出さないため、乳牛は常に妊娠、出産を繰り返していて、子牛は1年中産まれているのだそうです。そんなある日、ついに子牛が産まれそうだという情報が入りました。しかし、普通は出産間近の牛が飼育される分娩房で出産するのですが、予想より早く破水してしまい、放牧中に出産が始まるという緊急事態です。メス牛の誕生!心配して見守っていると、お母さん牛は突然立ち上がり、破水の時、子牛の足に絡まり出てきた羊膜を食べ始めました。これは、羊膜を母牛が食べることで匂いを消し、子牛の誕生を外敵に気付かせないようにする、野生の頃からの本能なのです。そしてついにメスの子牛が誕生!お母さん牛は必死に子牛の身体を舐め血液の循環を良くさせると、子牛は『モ〜ッ!』と無事産声を上げ、彼女は目がテン牧場の最初の住人となりました!矢野さんも大感動の一幕でした。
 そして子牛は、外敵の餌食になってしまうのを防ぐ野生の頃からの本能で、すぐさま立ち上がろうとしました。そして20分後、ついに立ち上がり、おぼつかない足取りですが、すぐに歩けるようになりました。分娩房に入ると、早速お母さんのおっぱいに必死にしがみつき、お乳を飲み始めました。初乳豆腐これを初乳といい、通常の牛乳と比べ、色が黄色くとろみがあり、成分も通常の牛乳と比較して、タンパク質が5倍、さらに免疫物質を作る免疫グロブリンが60倍も多く含まれています。初乳は子牛にとって、身体を作り病気から身を守る免疫力を作る上で非常に重要なものだったのです。しかしこれらの成分は24時間を過ぎると次第に減っていくので生まれてすぐに初乳を飲ませることがとても大事なのです。そして、スタジオには初乳で作った初乳豆腐が登場!試食した所さんの感想はなかなかの高評価でした。

所さんのポイント
ポイント2
子牛が生まれて初めて飲む「初乳」は、病気から身を守る免疫力を作るために、子牛にとって重要なのだ!

 さて、子牛は初乳を飲ませたら、なんとその日のうちに親と引き離されるのだそうです。実は、子牛は免疫力が弱いため牛舎で大人の牛に混じっていると、糞尿などの雑菌により、病気にかかりやすくなるので、カーフハッチという小屋で一頭ずつ飼育されるのです。そこで、矢野さんが子牛のために特製カーフハッチ作りに挑戦しました。菌が繁殖しないよう風通しの窓を作り、万が一雑菌が増えたときすぐに分かるよう、白いペンキで全体を塗りました。そしてひなたぼっこができる広めの囲いを作り、ベッドがわりのワラをたっぷり敷き詰め完成です。子牛は個体識別のため耳標(じひょう)をつけいよいよ特製ハッチの元へ。すると子牛は自分から入っていき、新居を気に入ったようです。さらに、牛は一頭では寂しがり、乳の出が悪くなるそうなので、元気な黒い子牛をもう一頭頂きました。そして所さんに、黒い子牛は黒元(くろもと)、白い子牛は白元(しろもと)と命名してもらいました。さあ、目がテン牧場1000回に向けついに始動です!



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